2017年世界と日本
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難民問題とギリシャ問題をメルケル首相は乗り切れるのか
2017年世界と日本(2)BREXITとEUの激動(後編)
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
EU全体に影を落としているのが、難民問題とギリシャ問題だ。ドイツのメルケル首相は、果たしてこの難局を乗り切れるのだろうか。(2017年1月24日開催島田塾第142回勉強会島田晴雄会長講演「2017年 年頭所感」より、全11話中第3話)
時間:13分07秒
収録日:2017年1月24日
追加日:2017年5月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●ハンガリー東駅で遭遇したヨーロッパ難民の現状


 ブレグジットの最大の争点は、移民問題でした。しかし、実際にいま欧州が苦悶し苦闘しているのは、移民以上に大量の難民問題です。

 2015年以来、一部は移民かもしれませんが、150万人を超える大量の難民がEU諸国に押し寄せました。その途中、1万人を超える人々が、地中海やその他の地域で命を落とし、欧州域内では対応しきれないまま、内部対立が非常に激化しています。これに対してメルケル首相は終始「難民受け入れは人道支援だから絶対に行う」と見事な姿勢を見せています。

 彼らが中東からヨーロッパへ入ってくると、最初の渡航先はギリシャやハンガリーです。今日も何人かの仲間が来ていますが、私ども島田村塾では、2期生ほぼ全員でハンガリー訪問をし、首都ブダペストで東駅(East Station)の様子を見ました。駅前では数千人の難民が毛布にくるまったり、ハンガリー政府から食事をもらったりしていました。彼らはとにかく「ドイツ行きの列車に乗りたい」と大騒ぎをしていたのです。ハンガリー人は「ふざけるな」と思っていたでしょうし、オルバーン首相は苦々しく見守っていたでしょう。しかし、メルケル首相は「ハンガリーからは1日あたり1万人をドイツに受け入れる」と約束しました。


●難民とテロ問題で岐路に立たされたメルケル氏


 その矢先に、とんでもないことが起きました。2015年11月13日のパリ同時多発テロで130人が亡くなった事件です。

 実行犯の一部はシェンゲン協定にのっとって国境を越えてきた者たちでした。シェンゲン協定について話すと時間がかかるので割愛しますが、要するにEUの中では国境を越えて自由に出入りできると定めた特別な条約です。その危険性が、このような事態に結びついてしまった。「誰が悪いのか?」と犯人探しが始まり、人道主義による難民受け入れを主張するメルケル氏に批判が集中しました。

 メルケル氏は東ドイツ育ちでロシア語が得意です。ライプツィヒ大学を物理学専攻で卒業したいわゆる「リケジョ」ですが、ベルリンの壁崩壊を受けて、突如民主化運動に目覚めます。その後はコール首相の高い評価を受け、「コールのお嬢さん」と呼ばれる秘蔵っ子でした。コール氏の失脚後、CDU(キリスト教民主同盟)の党首となり、2005年に大連立を果たして首相となりました。

 国内では「メルケルが選挙に立つと...

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