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「小池劇場」で選挙戦をリードした新都知事の勝負上手

都知事選を総括するー小池氏圧勝の理由と東京都への提言

曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
小池百合子(東京都知事)
政治学者で慶応義塾大学大学院教授・曽根泰教氏による東京都知事選の総括。なぜ小池百合子氏は圧勝することができたのか。そして小池新都知事は今後、都政および東京問題にいかに向かっていくべきなのか。東京都という巨大都市ならではの特質と課題を踏まえ、圧倒的な権力を有する東京都知事の本質を考える、東京都の現在と未来のための政治学レクチャー。
時間:16:24
収録日:2016/08/02
追加日:2016/08/05
タグ:
≪全文≫

●小池氏圧勝の理由-「女性だから」とは関係ない


 東京都知事選挙の結果を踏まえ、これをどのように理解したらいいのかというお話をします。

 結果は、小池百合子さんが2位と110万票以上の大差を付けて、増田寛也さん、あるいは鳥越俊太郎さんに勝ったということです。事前の予測で、小池さんは勝つだろうと言われていました。しかし、こんなに圧勝するところまではなかなか予測ができていませんでした。その理由は何かというお話が一つあります。また、前回10MTVで「東京問題」ということを申し上げました(7月15日配信開始)。それを小池さんは解決できるのだろうか。この話もします。

 確かに、東京で女性初の知事ということが注目されていますが、最近の世界の政治家を見ると、大統領、首相、市長などで女性は大変多いわけです。ドイツのアンゲラ・メルケル首相、また、今度選ばれたイギリスのテリーザ・メイ首相、アメリカ民主党の大統領候補であるヒラリー・クリントン氏、韓国の朴槿恵大統領、台湾の蔡英文総統、あるいは、最近(今年6月)ローマ市長に選ばれたビルジニア・ラッジ氏など、政治の世界で女性ということが今では必ずしもそう珍しいことではないし、「初めて」という言い方も、「そうかな」という程度のものです。ですから、女性であるから小池百合子さんが勝った、ということではないだろうと思います。


●素早さと勝負上手の小池候補が選挙戦をリード


 そうして考えてみますと、選挙戦術上、この都知事選全体は、「小泉劇場」と同じように「小池劇場」の舞台を、小池候補リードで動かしたといえるのではないでしょうか。小泉純一郎さんのやり方を真似して、自民党の東京都連(東京都支部連合会)を敵に回す選挙のやり方もそうですし、あるいはかなり早い時期、6月の初めごろに小池さんにお会いした時に、既に都知事選に出るつもりは十分に感じ取ることができました。舛添要一さんの辞任が6月15日ですので、その2週間ほど前から既に決めていたのではないかと思います。

 そういう意味でいうと、節目節目で自民党都連がいわゆる凡ミスをしたということです。つまり明らかに勝負は小池さんの方が上手であったわけです。けんかがうまかったともいえるでしょう。自民党の東京都連の問題もあるのですが、民進党の都連もあまり素早い動きといいますか、賢明な動きをしたとは思え...
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