今の時代は「日清戦争前夜」
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
複数の国境問題を抱えた現状は百年前の国際情勢の相似形
今の時代は「日清戦争前夜」
諸方に国境問題をかかえた中国が、現在の国際情勢を「日清戦争前夜」とみなすことの意味と影響。日中関係の悪化が懸念される今、日本がなすべきことは何か。石川好氏が関係の構造を読み解く。
時間:7分08秒
収録日:2013年10月31日
追加日:2014年5月1日
≪全文≫

●中華文明、屈辱の歴史。帝国列強に侵された国境と尊厳


中国は今、いくつかの国境の問題を抱えています。そんな中、歴史学者や共産党中央委員会の間で、ある非常に興味深い見方がひそかに出てきています。今の時代を「日清戦争前夜」であるとみなす見方です。もっとも、1894年に勃発した日清戦争が再来して日本と中国の間に戦争が始まるという意味ではありません。中国の国境をめぐる問題の状況があたかも「日清戦争前夜」であると言っているのです。こういうことです。
日清戦争(1894~1895)をさかのぼること10年、1884年には、清朝政府はフランスと清仏戦争(1884~1885)をしています。これはベトナムの宗主権をめぐる戦争です。中国が宗主国としてベトナムを植民地、属国としていたところにフランスが侵出してきた。そこで清仏戦争が始まります。中国はこの戦争に負けてベトナムを失います。中華文明の重要な周辺国であるベトナムをフランスに取られてしまうのです。
また6年後には、今度は今の新疆ウイグル自治区にあたるウイグル、新疆をめぐって、清朝政府はロシアと戦争寸前までいがみ合ってしまいます。
それから4年後に日清戦争が起こります。これも勃発の大きな理由は、朝鮮の独立と開国をめぐる問題にあります。朝鮮は宋主国である中国に気兼ねをしてなかなか独立をしない。そこで業を煮やして日本が介入して、日清戦争という事態が1894年に起こるわけです。
この視点で捉えると気づくことがあります。それはこういうことです。中国は中華文明の光の外縁にあるベトナムを、ヨーロッパの大国によって失ってしまいました。また、北方のウイグル族が住んでいた新疆にもロシアが攻め込んできて奪おうとしている。東にある朝鮮半島にも、新しい大国である日本が、そこをめぐって独立戦争をしかけてきている。こうした状況は、中国から見れば、自分たち中華帝国、中華文明の外縁が、外部の力によって侵されはじめているということになります。
日清戦争は、日本から見れば、朝鮮半島を独立させたい、そうでないとロシアが南下してくるから危険であるということで起こったものですが、中国側から見るとそうではありません。それをさかのぼること10年前にベトナムを失い、新疆にもロシアが攻め込んできている状況の中、東の朝鮮半島も日本がやってくるという危機的状況。日清戦争という事...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
国家の中で個人が楽しく生きるために、なぜ「中間団体」が重要か
片山杜秀
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(2)高齢者総合機能評価とフレイル
“マッチョな老衰”はいない!?若い頃からいかに骨格筋肉量を蓄えるかが健康長寿の鍵
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)『イリアス』の世界ーその1
叙事詩イリアス…トロイア戦争最後の50日間を描いた傑作
納富信留
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
ルネサンス美術の見方(6)ルネサンスの完成者ラファエッロ
ラファエッロが「ルネサンスの完成者」と呼ばれる理由
池上英洋