百年河清を俟つ~中国流の物事の解決方法~
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
毛沢東の「1万年後に解決」にキッシンジャーがのけぞった
百年河清を俟つ~中国流の物事の解決方法~
中国と関係を築いていくのはなぜ難しいのか? その一因は「百年河清を俟つ」の言葉に見られるように、中国特有の時間軸のとらえ方にある。数々の歴史的エピソードや今日なお尾を引く諸問題を事例に、中国的物事の解決方法を徹底解説する。
時間:11分45秒
収録日:2013年10月31日
追加日:2014年5月1日
≪全文≫

●黄河が示す「中国流の物事の解決方法」とは?


中国とは日本だけではなくて、いろいろな国がいろいろな問題を抱えている国です。そうすると、「中国的な解決方法とはなんであるか」ということを考えておく必要があると思います。われわれは今や、常に国際法の社会に生きているわけでありますから、世界のあらゆる問題というのは、国連に参加している以上はまず国際法、あるいは国連憲章など、全てそういった条約や国際法で決められたことを遵守することによって、領土問題であり人権問題であり、世界の難しい問題を解決していこうと、こういう構えで大体の国が生きているはずであります。
では、中国もそうであるかというと、イエスでもあり、ノーでもありますね。物事の解決方法というのは、ある国は裁判で解決するとか、いろいろ話し合いでするなどがあるわけです。しかし、中国での物事の解決の仕方というのは、中国の古い言葉を利用して言えば「百年河清を俟(ま)つ」ということです。「河清」というのは「河が清くなる」の意味です。つまり、「100年間で河が清くなります」という言い方なのですね。この河は黄河のことです。黄河というのは、濁流、激流で、「黄色い河」と言うように濁っています。激流で、黄土高原から流れ込んでいる土砂を巻き込んでいますから、本当に濁っているわけですね。
しかし、そのように濁った黄河も100年経てばやがてきれいになるのだと、という意味です。もちろん黄河というのは100年経ってもきれいになっていませんけれども、一つの例えとして、中国人の物事を解決する方法として使われる言葉なのです。
「百年河清を俟つ」。「こんな濁った黄河であっても、100年も経てばどこか清らかな飲めるような水になるであろう」と、そういう言葉があるわけなのです。これは私の理解では、中国的な物事の解決方法を表した言葉だと思います。


●100年という時間軸で考える、実行する


かつて日本のある国会議員さんが、国際会議で笑い話がありますと言っていました。その議員さんは宇宙に関わるシンポジウムに行ったらしいのですが、中国には古代から「百年火星を待つ」という言葉がある。「中国はもう古代から100年間火星を待っている」というわけです。「火星」は宇宙の惑星で、「火星」と「河清」を間違えて笑われたという話があります。
それは冗談としましても、「百年河清...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦