<参考>
安倍晋三首相は2014年5月6日午前フランスパリで開催されたOECD(経済協力開発機構)閣僚理事会で基調講演を行い、「基本的な価値を共有する国々と、公正なルールの下で競争が確保される大きな経済圏をつくり上げる」と、新たな経済秩序の構築への意欲を強調。「OECDには公正なルールを世界にあまねく広げることという使命がある」と指摘した 。また同日午後はベルギーブリュッセルのNATO(北大西洋条約機構)本部で演説し、中国の海洋進出や軍拡の傾向について「わが国を含む国際社会の懸念事項になっている」と批判。同時に政権が掲げる「積極的平和主義」実現に向け、集団的自衛権の行使容認などのために憲法解釈を見直す必要性を訴えた 。
●靖国参拝は与件として、集団的自衛権実現を
岡崎 日本がOECD(経済協力開発機構)に加盟した1964年、私はちょうどパリにいました。その年、パリに日本の在仏大使館の他に、もう一つOECD日本政府代表部ができました。一挙にわれわれ日本人の仲間が倍に増えてにぎやかになりました。今年はOECD加盟50周年です。
5月6日に安倍首相が行ったOECDの基調講演ですが、日EU・EPAの早期成立などは中国へのけん制も意識しており、むしろNATO(北大西洋条約機構)に向けての演説ですよね。安倍さんは信念があるから何を言っても迫力があります。今回の欧州歴訪ではフランスでは技術協力、軍事協力等も決めましたし、特にフランスは今一番日本を頼りにしているのではないでしょうか。ますます成功です。これでいよいよ日本へ帰ってきて、集団的自衛権ですね。
―― 今回はスピーディーな展開ですね。
岡崎 私は、本当は集団的自衛権の行使容認を就任早々実現してほしかったのです。就任早々に集団的自衛権行使容認を日米防衛協力ガイドラインまで決めてしまえば、後は靖国神社へ行こうと、どこへ行こうと関係ありません。アメリカが怒ろうと中国が怒ろうと関係ないのです。靖国参拝をすると、中国が軍国主義に反対しているというようなうるさい議論になってしまいます。けれども、靖国参拝については、私は安倍さんをずっと見ているから分かるのですが、そういう問題ではないのです。あれは親が亡くなってまだ墓参りをしていない、それだけの事です。第一次内閣の時には参拝していませんから。親が亡くなって一日も早く墓参りに行きたい、他の声は関係ない、それだけのことです。ですから、靖国参拝は与件として、それを前提に他の事は考える。そのやり方は正しいと私は思います。
●16年衆参同日選から東京五輪へ。安倍政権は日本を変える長期政権に
岡崎 安倍首相は本当に立派な総理ですよ。長く続けてほしいです。先日、新聞にある論説が掲載されていました。2016年の衆参同日選挙をして憲法改正をイシューにして、一挙に国民投票を実施するべきだという論旨です 。安倍さんもうまく行けばそうしたいでしょう。まずは集団的自衛権、それからTPPの調整に入ると良くて、もう一度消費税率を上げても成長は落ちません。それらを達成して、16年に衆参同日選挙をする。そこまで行きたいです。そうすれば日本は一挙に変わります。
―― そこまで行けば、吉田茂(総理在任期間7年3カ月) よりも在任期間の長い総理になることになりますね。次の自民党総裁選まで2016年から3年ありますから、連続在任期間が6年、第一次内閣時代に1年されていますから通算7年になります 。戦後最長記録の佐藤栄作で7年8カ月 。中曽根さんが5年 。誰かが安倍総理に代わり得るかといえば、そんな人はいないですよね。
岡崎 ただ、佐藤栄作の頃とは制度が違います。また、代わる人という意味では麻生さんがいますが。望むべくは東京オリンピックまで安倍さんに総理を続けてほしい。東京オリンピックは象徴的なものですがね。
―― 2020年まで総理をされたら10年ということになりますね。イギリス元首相の故・サッチャー氏が在任11年です。本当は立派な人物が出たら一人でそのくらい長くされた方がいいですよね。
岡崎 ええ、続けた方がいいですね。サッチャーの自伝にありますが、サッチャーが首相になった時はイギリスの保守党も含めて全員が社会主義者でした。要するに左翼に迎合していたのです。そのためにイギリス社会がまひしていました。サッチャーが首相になり、保守主義がいいということになって、その後イギリスは成長を回復しました。イギリスはサッチャーで変わりましたからね。
―― その後ブレア首相になっても、もう変わりませんでしたね。戦後一貫して落ちてきた大英帝国がサッチャーで変わったわけですね。
岡崎 ですから、安倍さんもサッチャーの役割をしていると言えます。ただ、世界情勢も、あるいは変わるかもしれま...