2017年湾岸とシリア
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IS復活を阻むために必要なのは「失敗の要因」の分析
2017年湾岸とシリア(2)シリアの現状とISの今後
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
歴史学者・山内昌之氏がシリアの現状とISの今後について解説する。トランプ大統領の米露協調による緊張緩和地域拡大はシリア戦争収束に向けての一大方針といえるが、各国、各勢力がポスト・シリア戦争を見据える中、情勢は未だ混沌としている。ISが消滅しているとはいえないのも大きな不安要素だ。(全2話中第2話)
時間:14分48秒
収録日:2017年8月30日
追加日:2017年9月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●シリア「穏健な反体制派」へのCIA支援中止とその理由

 
 皆さん、こんにちは。

 今日は、前回のカタールとサウジアラビアとの断交の問題に引き続き、もう一つ大きな局面を迎えているシリアの現在の情勢とISの現状について語りたいと思います。

 今年2017年7月にドナルド・トランプ大統領は、これまでCIAアメリカの中央情報局が提供してきたシリアのいわゆる「穏健な反体制派」に対する武器供与を中止すると語りました。つまり、訓練事業はもう終わったので、武器の供給ももはやしないと決定したのです。ただし、そこからクルド人兵力は除くということです。

 これはなかなかに意味深長で、シリアにおける反体制派は「穏健な」とつけようと他に何をつけようとも、そのほとんどは何らかの形でスンナ派の過激派組織に結び付く、あるいはそことパイプを持っている組織なのです。つまりISというスンナ派の過激派組織をたたきつぶし、解体していくために、他の過激派組織を使い、そこを援助するという構図は、実はCIAは隠れて取っていたのですが、それはやはり面白くないというのが、トランプ大統領のある意味では正常な判断といえなくもないかと思います。

 CIAは2013年に、いわゆる「穏健な反体制派」への支援を開始しましたが、2015年からロシア軍がシリアに直接介入していました。実は「穏健な反体制派」なるものはロシアから過激派、あるいは過激派に従属する存在にすぎないというレッテルを貼られていたのです。すなわち、「穏健な反体制派」といってもその内容、そして実際にはその力は非常に限られていて、そうしたところにいくら援助しても、アサド政権を放逐する可能性は限りなく少ないと、(支援自体が)疑問視されるに至ったわけです。


●対露協調路線で緊張緩和地域を拡大というトランプの意図

 
 トランプ大統領の決定は、時系列で見ると非常に興味深く、この7月の決定は7月7日のロシアのプーチン大統領との会談に先立つ措置であったということです。すなわち、トランプ大統領はシリア問題に関して対露協調、つまりウラジーミル・プーチン大統領との協力、協調の下で解決しようと考えており、ロシアとの合意を通した緊張緩和地域、停戦地域を拡大して、実質的な実を取ろうというのが彼の構想なのです。

 地図に輪を付けた部分がありますが、これが緊張緩和地域であり、ロシアとアメリカが実質的...

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