『オンリー・イエスタデイ』のエッセンス
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イデオロギーでなく世代や政策で政治家を見るべき
『オンリー・イエスタデイ』のエッセンス(後編)
白石隆(熊本県立大学特別栄誉教授)
立命館大学特別招聘教授でジェトロ・アジア経済研究所長の白石隆氏が、自著『オンリー・イエスタデイ』の執筆について語る。竹下登首相がリクルート事件で失脚していなければ、日本の政治はどうなっていただろうか。近い過去を改めて振り返ることで、現在の状況を深く理解し、将来の手がかりを得る。(全2話中第2話)
時間:7分30秒
収録日:2017年11月24日
追加日:2018年3月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●リクルート事件は非常に不幸なタイミングで起きた


質問 もし竹下登首相があれだけ早く失脚せず、中選挙区制が守られて省庁再編もなければ、90年代の日本はもっと良くなっていたのではないでしょうか。

白石 そう思います。中曽根康弘元首相は非常にうまいことを言っています。自分の秘書官に言ったらしいのですが、その秘書官がメモワールの中で書いています。中曽根首相は自分の後継者を3人の中から選びました。結局、竹下首相を選んだのですが、そのときこう言ったというのです。「これからはやはり内政が大事だ。だから内政をきちっと押さえられる人を後継者にした」と。

 ですから、リクルート事件は確かにスキャンダルになるのは分かりますが、非常に不幸なタイミングで起きたのだと思います。だからアクシデントなのでしょうし、政治とは常にアクシデントです。


●イデオロギーで政治指導者を判断するべきではない


質問 その後、小泉純一郎首相が出てきて、そして安倍晋三首相によって安定的な政権ができ、ようやく良い方向に向かっているということでしょうか。

白石 ある意味では、日本の多くの人たちの期待値は、ものすごく低くなっています。この程度と言ってはいけないかもしれませんが、この程度の経済の活性化で選挙に勝ててしまうわけです。2017年の衆議院議員総選挙では小池百合子氏のオウンゴールもあったでしょうが。あと1年ぐらいのうちにデフレーションから抜け出せるという期待はあるのかもしれませんが、次の成長モデルが生まれたわけではありません。その点、もう若い世代に任せた方がいいのではないかと私は思っています。

 また、安倍首相になって痛感したのは、結局、保守だとか何だとか言われていましたが、少なくとも彼の社会政策は相当プログレッシブです。つまり、イデオロギーとは無関係なのです。むしろ世代の問題ではないかと思います。もはやイデオロギーで政治指導者を判断するよりも、世代や得手とする政策分野で政治家を見るべきでしょう。

 例えば、安倍首相は63歳です。次の後継者は、50歳ぐらいの人にすればどうでしょうか。そうすると、社会政策でも年寄り重視ではなく、もっと若い人重視の政策が出てくるのではないかと思います。そうすることで、社会そのものが元気になっていくでしょう。ものすごく乱暴な議論ですが、最近はそのように感じています。例えば...

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