『オンリー・イエスタデイ』のエッセンス
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
世界の大変動はレーガン政権の頃から始まった
『オンリー・イエスタデイ』のエッセンス(前編)
白石隆(熊本県立大学特別栄誉教授)
立命館大学特別招聘教授でジェトロ・アジア経済研究所長の白石隆氏は、レーガン政権以降の世界情勢を、アメリカ・日本・アジアの視点から書き継いでいる。執筆中の『オンリー・イエスタデイ』のエッセンスを2回にわたり語っていく。(全2話中第1話)
時間:6分52秒
収録日:2017年11月24日
追加日:2018年3月16日
カテゴリー:
≪全文≫

●ブランドの民主化もプラザ合意の結果の一つである


質問 先生は『オンリー・イエスタデイ』という大著を執筆されているそうですが、どのぐらいまで書かれたでしょうか。

白石 実はあまり進んでいません。基本的なストーリーはこうです。アメリカのマクロ経済の失敗のつけがプラザ合意であり、アメリカの企業がやむなくアジアに進出せざるを得なくなった結果、アジアが工業化しました。これは皆さんよくご存じの単純なストーリーです。

 他方、同時にブランドの民主化という話も書きました。例えば、ルイ・ヴィトン1980年代になって初めて海外支店を持つようになりました。それまではフランスのパリとニースに1軒ずつぐらいしか店がなかったのです。日本の観光客がたくさん押し寄せて困っていました。それを解消するべく動いた人が、後にルイ・ヴィトンの日本支社の社長になります。一時は日本でのルイ・ヴィトンの売り上げは、本社をはるかに上回るまでになったのです。こうしたプロセスによって、ブランドの民主化が起きました。

 アメリカでは、ルイ・ヴィトンは買わない人がとても多いのです。ヨーロッパでは貴族しか買いません。ところが日本では若い人も皆ルイ・ヴィトンを持っています。日本でこうした現象が始まって、例えばブランドストリートができると、今度はそれが東南アジアや中国に広がっていきました。こうした現象もある意味では、プラザ合意以降の一つの結果です。もちろん国内的にはバブルが起きました。プラザ合意以降のこうした様々なことを、全てサーベイしたのです。


●アメリカの大戦略の転換をレーガン政権から見直す


白石 『オンリー・イエスタデイ』の基軸となるストーリーの2つ目は、ジオポリティックス(地政学)です。ロナルド・レーガン政権からビル・クリントン政権の頃、つまり冷戦が終わる頃まで、アメリカの大きい戦略がどのように展開していったのかを議論しています。ある意味では簡単な話で、要するに共産主義を封じ込める戦略がなくなっていったのです。

 冷戦が終わるタイミングで湾岸戦争が起きました。これが大きな影響を持ち、以後アメリカの軍事費はあまり減っていません。「平和な配当」ということが言われましたが、ほとんど軍事費は減っておらず、冷戦が終わってむしろ浮くはずだったお金が、今度は中東戦略につぎ込まれているのです。結局、気が付いてみたら...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾