アジア政治経済の過去と現在
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
「歴史総合」は2022年から!近現代史の重要性を説く
第2話へ進む
なぜトランプ現象は起きたか?反グローバリズム台頭の理由
アジア政治経済の過去と現在(1)アメリカ大統領選挙から読む
白石隆(熊本県立大学特別栄誉教授)
これからのアジア情勢を考える上で、今年(2016年)のアメリカ大統領選挙は重要なトピックだ。政策研究大学院大学学長・白石隆氏は、クリントン候補が優勢であるとした上で、なぜトランプ現象は起こったのか、どうしてアメリカで反グローバリズムが台頭したかに注目すべきだという。そのポイントは、ここ20年間の、欧米とアジアの経済成長の違いにある。(全7話中第1話)
時間:13分14秒
収録日:2016年9月20日
追加日:2016年11月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●大統領選挙はクリントン候補が優勢か


 世論調査で見ると、(アメリカの大統領選挙における両候補の支持率の)差は3パーセントかそれ以下で、ご指摘の通り、ひっくり返りそうなものもあります(2016年9月時点)。ただアメリカの大統領選挙は、州ごとに選挙人を選ぶわけです。その選挙人が大統領を選ぶという、一応、二段構えのやり方です。ですから必ずしも世論調査、あるいは大統領候補の支持率が、大統領の選出に直接つながるわけではありません。つまり、世論と大統領の選出の間には非常に重要なワンクッションがあり、そこでかなり変わってしまうという特徴があります。

 ですから、私自身はもちろんアメリカの政治の専門家ではありませんが、私なども参考にしているワシントン在住の人たちの分析を見ていると、クリントン女史が負けるのはなかなか難しい、というくらいのところに、もう既に来ているのではないかと思います。先日、ロンドンエコノミストに、「(クリントン候補が)負けるのはなかなか難しい」ということが出ていました。あのあたりの見立てで、大体合っているのではないでしょうか。

 むしろ私自身は、どうしてもマクロを見ることが得意ですから、どうしてああいう現象(トランプ現象)が起こったのか、どうしてあそこまで反グローバル化の動きが強くなったのかを考えています。


●なぜアメリカで反グローバリズムが台頭したか


 一つの見方は、例えば1995年から2005年までの10年間と、2005年から2015年までの10年間、この2つの10年間という期間に、1人当たりの実質国民所得がどのぐらい伸びたのかという点です。アメリカとヨーロッパとアジア、いずれのケースも計算は簡単にできます。IMFのワールド・エコノミック・アウトルックにあるデータを使って、2カ月ぐらい前に計算してみました。

 非常に面白いことに、アメリカもヨーロッパも、1995年から2005年の10年間は、1人当たりの国民所得は大体25パーセントほど伸びたのです。一方、日本は約5パーセント程度でした。私の記憶では、アメリカ、カナダ、イギリス、スペインなどが約25パーセントと非常に良く、ドイツが比較的少なく約17パーセントほどです。

 ただ次の2005年から2015年では、世界金融危機が引っ掛かり、それから欧州危機もあったので、ガタンと減ります。アメリカ、カナダ、イギリスが大体5パーセント程度。100だったのが105ぐらい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
大国主神に学ぶ日本人の生き方(8)求婚の歌と縁結びの力
大国主神が詠んだ歌…『古事記』の歌の意味と縁結びの力
鎌田東二
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望