アジア政治経済の過去と現在
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
香港を丸ごと移植したシンガポールの金融経済に学ぶ
アジア政治経済の過去と現在(5)台湾・韓国・香港との関係
政治と経済
白石隆(公立大学法人熊本県立大学 第3代理事長/国際政治学者)
変わりゆくアジア情勢の中でも、日本は台湾、韓国、香港とどう付き合っていくのがいいか。台湾とは政治的フィクションにとらわれることなく良好な関係を築き、韓国は国内世論によって慰安婦合意が覆る可能性を考慮しておく必要があるなど、それぞれの国の事情に対応すべき方策を政策研究大学院大学学長・白石隆氏が語る。(全6話中第5話)
時間:13分48秒
収録日:2016年9月20日
追加日:2016年12月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●フィクションに頼らず、台湾との友好関係を築け


 台湾は、随分変わってきたと思います。根拠として非常に重要なのは、1980年代から90年代の前半に起こった民主化です。ちょうどその時に、中国で天安門事件があり、「ああ、中国はああいう国なんだ」という印象を与えてしまいました。今になってみると、この組み合わせは非常に重要で、アメリカの対中政策は、見方によっては対台湾政策です。日本も、対中政策は一部が対台湾政策なのです。台湾に対する見方は、1990年代に微妙に変わっていった気がします。

 独立した台湾に対し、中国が武力介入してこの地域が不安定化することは誰も望みません。台湾の人も世論調査を見る限り、決してそこまでは期待していません。しかし、一国二制度にもならない。「一つの中国」というのは一種のフィクションで、事実レベルでは、一つの中国と一つの台湾という事態が、次第次第に進行していくという流れが穏当なところではないかという気がします。その意味で日本政府も、このフィクションを公然と否定する必要はないと思います。そして、そういう頭で台湾を重視する必要があるだろうと思います。

 蔡英文という方は、やはりとても頭が良いのでしょう。非常にバランスが取れているという印象がありますし、ものすごく安定感があります。中国はかなり厳しい態度を取っていますが、それをやればやるほど大人げないという評価になるのではないかという気はします。


●日韓共同宣言以降、国内政治に振り回される日韓関係


 韓国については、今になって見ると、安倍晋三総理は随分辛抱し、昨年の12月に慰安婦問題に関する日韓合意までよく持っていったと思います。ですが、今の韓国における国内政治の動向を見ていると、来年行われる次期大統領選挙で、野党から誰かが出てくる可能性は十分あります。その時に、大きく振り子が(反対に)振れると、「あんな合意は知らん」ということになる可能性も十分あります。あまり言いませんが、実情は難しいですね。

 この間も、コトラ(大韓貿易投資振興公社)の方が来られて、「ジェトロとコトラの協議は5年間停止していました」と言っていました。「やっとまたこうやって少し活動できるようになりました」って言っていました。そういう実務のレベルでは随分苦労されているのだと思います。一番の政務のレベルでこれだけ振幅が激しいと、「合意がで...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
片山杜秀
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子