大人の学び直しのために
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
本人が一番良い解決策を見出すのが「正しい学び」
大人の学び直しのために(2)大量情報時代の学び方
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
若い頃とは違う大人ならではの学び方がある一方で、現代のような大量の情報が流れてくる時代ならではの学び方もある、と柳川氏は言う。大量の情報をどう選び、残していくか。また、そこからどう学びを深めていくか。東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏が「大人の学び直し」について解説するレクチャーシリーズ後編。(全2話中第2話)
時間:16分05秒
収録日:2018年2月16日
追加日:2018年3月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●大量の情報をいかに自分のものにするかが問われる時代


 もう1つ、大事だと思うポイントは、今は情報が大量にある時代だということです。例えば、明治時代のように洋行して貴重な本を持って帰ってくるという時代だと、本当に手に入れられる情報はその本だけ、しかも外国語の本だけということになり、その本を隅から隅まできっちり翻訳をして、隅から隅まで覚えるということに大きな意義があったと思います。そこまで極端な時代ではなく、例えばインターネットがこれだけ普及する20年30年前でも、やはり手に入れられる情報、あるいは流れてくる情報は限られていました。テレビのニュースをかじりついて見るということに意義がある時代だったのです。

 ところが今やインターネットを通じて大量の情報が流れてきます。その中にはさまざまな情報があって、場合によってはフェイクニュースではないかといわれるようなものもありますが、かなり高度な専門家による情報も発信されます。この大量に入ってくる情報をいかに自分のものにしていくかということが、やはり今の時代に必要とされる「学び」であって、それは海外から得た1冊の本を隅から隅まで読む学び方とは当然変わってこないといけないはずです。


●大量の情報を頭に通す、保存せずその場で読む


 このように大量に情報がある場合の学び方には、実はなかなかいい指南書がありません。私が思うのは、大量の情報はとにかく流しっぱなしにするのが大事だということです。大量の情報の中で限られた一部のいい情報だけに接しようと思っても、実はどれがいい情報なのか、どれが有意義でないのかということを選別するだけでも大変な作業になってしまいます。また、その重要な情報をきちんとためておいて後でチェックをしようとする傾向も強いのですが、これも実は難しくなっているのではないかと思います。

 昔であれば、新聞を切り抜いてスクラップブックを作ったりしましたし、今でも何か重要なブログの記事をメモしたり、あるいはその記事をためておくということをやっている人は随分多いと思います。ネット上で印象に残ったさまざまな情報、あるいはこれは大事かなと思ったところをファイルしておく、コピーしておくということです。ところがどうでしょう。実際そのような情報を一体どのくらい見返しているでしょうか。ためておいた情報を見返して整理するということを...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(5)生成AIの活用イメージ
Copilotの提供方法を紹介~一般向けから業務特化型まで
渡辺宣彦