●防衛大臣の一番の心構えは、紛争を起こさないこと
防衛大臣の小野寺です。今日は出演させていただいて、ありがとうございます。
私の防衛大臣としての一番の心構えというのは、まず紛争を起こさないこと、これが一番大事だと思います。そのために、抑止力をどう高めるかが最大のテーマになります。
防衛大臣になって安倍総理から指示されたのは、まず一つは「防衛大綱」を作れということでした。これは10年規模の日本の安全保障の大きな枠組みになります。それから、「中期防(中期防衛力整備計画)」という、5年程度の防衛装備をどうするかの計画を作れという指示でした。
●国家安全保障の枠組みは、外務・防衛の緊密な連携から
これらを実現するために総理とともにいろいろ相談を繰り返す中で、私からは次の問題意識を提示させていただきました。
例えば、北朝鮮が「日本にミサイル攻撃をする」というような、さまざまな威圧的な発言をした場合ですが、私どもとしては当然、ミサイル防衛システムは、アメリカと日本にしかないような非常に優れたものを持っています。しっかりこの国を守る、保っていくためのシステムです。
しかし、それだけで日本を守れるかというと、大切なのは北朝鮮にミサイルを発射させないことで、そのためには外交でさまざまな努力をしてもらうことが重要になります。その意味で、外交と安全保障・防衛分野は表裏一体になっています。この分野の連携がよくならないと、日本の安全保障にとって機能的な役割が果たせない。そのことを総理も含めて共通認識を持っていただきました。
●日本版NSC「国家安全保障会議」を設置
そのためにも、まず日本版NSCに当たる「国家安全保障会議」を作り、これをきちんとスタートさせる努力を防衛大臣就任当初から行ってまいりました。その後に、この安全保障会議をもって、日本は安全保障においてどういう戦略を持つのかを定める「国家安全保障戦略」を策定する流れとしました。
意外なことに、日本の安全保障に関しては、防衛に関する基本という考え方はありましたが、安全保障の戦略はありませんでした。ですから今回政権交代になって、外務・防衛が緊密な関係を持ち、そして国家安全保障会議を作り、その中での戦略、大綱、中期防――このような一貫した流れの中で、私どもは安全保障の役割を一つ一つ積み上げております。
●同盟国アメリカとの関係強化は、沖縄に始まる
それからもう一つ。どうしても大切なのは、同盟国アメリカとの関係をしっかり構築する必要です。これについては、私の言葉ではなく、アメリカのチャック・ヘーゲル国防長官の言葉を借りましょう。つい先日(5月31日~6月2日)、シンガポールでの「シャングリラ・ダイアローグ(第13回アジア安全保障会議)」でスピーチされた内容です。
「3年前、日米関係は最悪だった。政権が替わって、日米関係はたいへんよくなった。今の日米関係は、完全な信頼関係の上に成り立っている。特に今の政権は、沖縄の問題を含めてさまざまなことを解決し、前に進めている。これは大変評価できることだ」
中国も含めたアジアの多くの防衛関係者の前で、彼はこのようにスピーチしました。私は、この沖縄問題も日米関係の構築にとって非常に重要であり、安全保障に大きな役割を持つことは間違いないと思っております。
●普天間基地移設とXバンド・レーダー配備基地の設置
防衛大臣になってまず、沖縄の普天間基地の辺野古への移設を進める努力をさせていただきました。普天間の危険性の除去については17年間も動いていませんでした。沖縄のご理解をいただきながら、17年ぶりに動くということになりました。
さらに、あまり知られていないことですが、アメリカから日本への依頼事項はもう一つありました。TPY-2レーダー(「Xバンド・レーダー」)を配備した米軍基地をもう一つ日本に作りたいということです。適地は京都府の京丹後という所で、実はすでに工事も始まっています。
Xバンド・レーダーは、弾道ミサイル対応に非常に有効です。そこで、北朝鮮を中心とした攻撃から日本を防衛するために、2基目の建設を行うことになりました。京丹後市・京都府からご理解をいただき、相談を始めて1年経たないうちにもう工事が始まりましたので、速やかに進めば配備も速やかに行われます。
このように前に進めていく姿勢を、アメリカ側は非常に高く評価しています。
●日米関係の強化はアジアの安全保障と世界の成長へのカギ
すでにヘーゲル国防長官とは、この1年少しの間で6回のバイ会談を行っています。意思疎通はもう完全で、お互いに気脈の通じる仲間だと思っています。こういう日米間の強い関係が、基本的な同盟関係をより強化していく。そ...