『中東国際関係史研究』を読み解く
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
トルコ将軍、カラベキルの東方政策の功績とは
『中東国際関係史研究』を読み解く(2)カラベキルの東方政策
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
「第一次世界大戦で敗戦国であったトルコが、その後の戦争処理において領土を増やして戻ってくるなどということは、まことに考えられないことだ」と、当時のイギリス外務大臣・カーゾン氏が述べている。国際関係史の常識を覆した、トルコの若き将軍カラベキルの東方政策、その功績を追う。(全3話中第2話目)
時間:15分59秒
収録日:2014年6月18日
追加日:2014年7月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●トルコの若き二人の将軍、カラベキル・パシャとケマル・パシャ


 キャーズィム・カラベキル・パシャとは、どのような人物だったのでしょうか。彼は、まず1882年にオスマン帝国の軍人の家に生まれました。父親もパシャであり、高級軍人でした。この点、同じくオスマン帝国で1年先輩であったムスタファ・ケマル・パシャとは違いました。 ムスタファ・ケマル・パシャは、今はギリシア領となったサロニカ、テッサロニキで生まれた人物であり、父親は平凡な市民階級に属していた人物でした。

 したがって、この二人には、出生、出身の背景に違いがありました。かたやエリート軍人、かたや平凡な市民階級の出身ということで、この二人の性格が、実はその後、二人の行く手、行方というものを異なるものにしていくのです。

 20世紀初頭にオスマン帝国を苦しめた2回にわたるバルカン戦争、伊土戦争とかトリポリ戦争と呼ばれているイタリアとトルコとの戦争、それから第一次世界大戦と、この二人はいずれも若い将校として、そして、オスマン軍でも最年少の30代の将軍として、師団長や軍団長という高いレベルの軍事指導、作戦指導をしたことでも知られているのです。

 しかも、先ほどお話ししたように、ケマル・パシャは、ガリポリ半島でイギリスの軍隊を撃退したことで知られていますし、キャーズィム・カラベキル・パシャは、同じようにイラクにおいてクートという場所で、当時のイギリス軍と戦い、降伏させました。ちなみに、このクートですが、正しくはクート・アル・アーマラといい、この間のアメリカとサダム・フセインとのイラク戦争でも登場したクトと同じ場所です。イギリス軍は、非常に大きな犠牲を払ったことで、指揮官のタウンゼント将軍も捕虜になりました。その時の作戦指導にあたっていた人物がキャーズィム・カラベキル・パシャでした。二人とも若い将軍でしたが、軍人としての実績があり、内外に知られていました。特にイギリスは、はっきりとこの二人を意識していたのです。


●カラベキルの知性と洞察力は、イギリス軍指揮者にも知られていた


 この二人が、第一次世界大戦が終わった時に、イギリスの目を逃れて、イスタンブールではなく、アナトリア、すなわちトルコのアジア地域のアンカラにケマル、東アナトリアの中心地であるエルズルムという所にいたことは、まことに運命のいたずらという他...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
プロジェクトマネジメントの基本(10)大脳生理学によるモチベーション理論
論理的?計画的?社交的?冒険的?利き脳による4タイプ
大塚有希子
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
これからの社会・経済の構造変化(2)経済的利益と社会課題解決の両立へ
利益か社会課題解決か…かつての日本企業の美点を取り戻せ
柳川範之
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔