「大人の学び」のスタイル:重要なことと重要ではないこと
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
大人の学びは自分のペースで勉強することが重要
「大人の学び」のスタイル:重要なことと重要ではないこと
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
人生100年時代といわれる現在、「大人の学び」のスタイルは学生のときの学びとは異なると、柳川範之氏は語る。では、大人の学びにおいて、何が重要で何が重要ではないのか。そのポイントについて解説する。
時間:13分07秒
収録日:2018年10月2日
追加日:2019年1月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●「大人の学び」のスタイルは、学生の時とは異なる


 今回は、「大人の学び」というものについて、お話ししたいと思います。現在は人生100年時代であると言われており、ある意味で、大人になっても、あるいはいくつになっても、何かを学ぶことが重要になっています。学びを通じて、自分のスキルをアップさせていく、方向転換をしていく、あるいはさまざまな形で自分の頭の中を見つめ直す。そういった時間がかなり必要になってきているのです。

 しかしながら実は、大人になったときにどんな学び方をすればいいのかは、意外と多くの人がよく分からなくて迷っているのではないかと思っています。私は実は、大人の学び方というのは、いわゆる学生の時の学び方とはやはり、随分スタイルが違っていいのではないか、あるいは違うべきなのではないか、そう考えています。


●短距離走ではなく長距離走の発想で学ぶ


 中学校、高校、場合によっては大学、こういった学校での学びというのは基本的に、何かの試験で良い点を取る、そのために、できるだけスピードを速く、効率よく、いろいろな知識を身に付ける。こういう面がやはり強かったと思います。大人になったときにも、例えば何かの資格を取るために、受験勉強をすることもあります。そういった場合には、同じように効率よく試験が解けるように、高い点を取れるように勉強する。そういう点では、同じような勉強の仕方をする必要があるでしょう。

 しかし、ほとんどの人が考えている、あるいは必要だと思っている大人の学びというのは、具体的な試験などはないケースがほとんどです。つまり、何かを時間内に解く、または分かる、そういうところに学びのゴールがあるわけではないということがほとんどです。同じように英語を勉強しようとしても、例えば何か英語の資格試験を取るならば別ですが、そうでないならば、単語をどのくらい覚えればゴールかというようなことは、よく分かりません。

 明確なゴールがない、しかし、日頃の仕事が忙しくてなかなか時間をかけることができない。これが、大人の学びの特徴なのだと思います。そうするとやはり、学び方のスタイルを学生の時とは変えて、言ってみれば長距離走の発想で勉強することが必要になってきます。学生時代の試験勉強は短距離走のようなもので、できるだけ早く、1秒でも早くゴールにたどり着くことが目標です。その...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
徳と仏教の人生論(3)無分別知と全人格的思惟
般若とは何か――秋月龍珉からの命題を探求し到達した境地
田口佳史