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図と数を対話させた「デカルト座標軸」

デカルトの科学論に学ぶ(1)解析幾何学の発明

津崎良典
筑波大学人文社会系准教授
情報・テキスト
「解析幾何学」と言われてもピンとこないかもしれないが、X軸とY軸のグラフと言われれば、中学校で習ったことを思い出す人も多いだろう。それは実は、デカルトの発明である。あまり知られていないデカルトの科学的業績について紹介する。(全2話中第1話)
時間:09:41
収録日:2018/09/27
追加日:2019/03/24
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≪全文≫

●『広辞苑』にはデカルトという言葉が三十回ほど出てくる


 岩波書店から刊行されている『広辞苑』の最新版(第七版)を参照してみると、デカルトという言葉が三十回ほど出てくる、つまり三十箇所にデカルトという言葉が使われているようです。例えば、「意識」という項目にデカルトという名前が出てきたり、あるいは「実体」や「属性」「哲学」の概念の中でもデカルトという単語が出てきたりします。

 あるいは、デカルトをスウェーデンの首都ストックホルムに招いた「クリスティナ」という項目であったり「スピノザ」という人名の解説とともに、デカルトが出てくるようです。

 日本人の名前も一つあります。『広辞苑』の中に収録されている日本人名として、初代文部大臣であった森有礼の孫である「森有正」という人物の解説にも、デカルトという人名が出てきます。

 森有礼の孫の森有正は、かつて東京大学の先生をしており、その後パリに行かれるわけですが、若い頃にデカルト研究でご自身のアカデミックキャリアを始められました。私の研究室にある彼の本をいくつかもってきました。一番古いものだと、これは1943年だったと思いますが、戦争中に出た『デカルトよりパスカルへ』という本です。あるいは戦後ですが、東大協同組合出版部から『デカルト研究』という古い本も出ています。

 これは、もう少し後になりますが、森の全集を出している筑摩書房から刊行された『デカルトとパスカル』です。

 ということで、デカルトの研究でも有名な、森有正の紹介にもデカルトという人名が出てくるのです。


●「解析幾何学」に対するデカルトの貢献


 それ以外、一体どういうところにデカルトという人名が出てくるか、『広辞苑』を見てみると、有名な「我思う、ゆえに我あり」という項目にも出てきます。そして、科学の言葉の中に一つだけデカルトという名前が収録されています。

 それが「解析幾何学」という単語です。解析幾何学は数学用語ですが、『広辞苑』第七版つまり最新版の解説を引用してみたいと思います。

 「幾何学的図形を座標によって示し、図形の関係を座標のあいだに成り立つ代数方程式により明らかにする数学の一部門。デカルトの創始。座標幾何学。」

 これは、少し読んだだけではすぐに頭に入ってこないかもしれませんが、画面に引用文をお出ししていますので、そちらもご覧いただきたいと思います。

 その中に「デカルトの創始」と出てきています。つまり、解析幾何学という学問分野はデカルトが始めた、と『広辞苑』は私たちに教えています。今日はそのことを中心に見ながら、デカルトの科学上の業績を簡単に振り返りたいと思います。


●図と数を対話させた「デカルト座標軸」


 さて、「座標」という言葉が出てきましたね。座標ですが、別の辞書によると、点の座る場所という意味らしい。そうすると、ポイントは「点」ということになります。点を並べていくと、どうなるかというと直線が出てきます。あるいは点を無造作にいろいろ並べていくと、平面が出てきます。つまり、座標とは直線や平面などを構成する点の位置によって何かを表すためのものということです。何を表すかというと、数または数の組を表すものだということで座標を理解したいのですが、それだけだと分かりにくいので、直交座標というものを考えてみたいと思います。

 直接に交わる座標ですから、どんな座標を書けばよいかというと、こちらですが、中学校、あるいは高校の授業で見たことがあるという方が多いかもしれません。X軸とY軸とすると、「中学校で学んだな」と思い出すのではないでしょうか。これは、中学生全員が習っています。X軸とY軸ですが、実はデカルトの創作物です。

 では座標とは何か。その中にいろいろと書かれた点の位置によって、その数を組み合わせるということですから、数のことを考えなくてはいけません。ということで、簡単な方程式を解いてみたいと思います。

 3x-3=0を考えると、このxには何が入るか。一つしかありません。xは1しか入らない。3×1-3=0になる。では3x-3=yとした場合、どうなるか。xにはたくさんの数が入れられます。定まらないですね。当然yの数も変動してきます。このように変動するので、こういうものを「不定方程式」と言ったりします。定まらないから、不定方程式ということです。

 ここにはxには1だけではなく、2も3も入れられますし、4、5、6、いくらでも入れられます。では、3×1-3のときのyは何かというと、これは0です。3×2-3の場合のyの値は、3です。3×3-3のときのyの値は6ということになります。

 1、0という数の組み合わせと2、3という数の組み合わせと、3、6という数の...
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