デカルトの科学論に学ぶ
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
知られざるデカルトの科学者としての功績
デカルトの科学論に学ぶ(2)デカルトの功績と科学革命
津崎良典(筑波大学人文社会系 教授)
17世紀は「科学革命」の時代であるとも言われる。ガリレオやニュートンによる科学的発見など、実験や観察による進展が多くの分野で見られたが、デカルトもまた、物理学、医学や天文学において多くの科学的な発見をした人物である。(全2話中第2話)
時間:10分24秒
収録日:2018年9月27日
追加日:2019年3月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●慣性の法則、運動量保存の法則、虹の原理


 物理学の法則で言うと、他にも慣性の法則があります。慣性の法則とは、力が働かない限り、物体がその運動状態を保存するという法則です。つまり、力が働かない限り、静止しているものは静止しているし、一定の運動で動いているものは、宇宙の真空状態のように、力が働かない限りずっとその速度で動き続ける、これが慣性の法則で、運動の第一法則などと学校では習うと思います。

 それから、運動量保存の法則もデカルトが定式化しました。総運動量とは孤立系の運動量の総和のことで、総運動量は常に一定値を保つという運動量保存の法則も、現代物理学の非常に重要な法則ですが、これも彼が定式化したのです。

 さらに虹の原理も、です。空気中の水蒸気に光が差し込んできたときの屈折と反射が虹を生み出しているという気象学上の業績ですが、これはデカルトの科学上の業績として現代でも有効です。


●解剖による松果腺への着眼


 さらに彼は、医学にも強い関心を示し、解剖を実際にやっていたと言われています。

 解剖が実践されるのは非常に歴史が浅く、17世紀に入ってからようやく解剖について少しずつ偏見が薄れてきました。その中で、デカルトは最先端の解剖に強い関心を示し、実際に牛などの動物の体を開いています。そこで彼が注目したのは、臓器として現代医学でも意味のある「松果腺」と呼ばれる脳の部位です。なぜ松果腺と呼ばれるかというと、松ぼっくりの形をしているからです。

 松果腺は現代医学では「松果体」と呼ぶらしいのですが、左右大脳半球のあいだの第三脳室後方にあり、「メラトニン」と「セロトニン」と呼ばれるホルモンを分泌している器官のようです。

 デカルトはどうして、この松果腺と呼ばれる脳の器官に注目したのでしょうか。彼の哲学は心身二元論を採りますから、精神と身体とは完全に交流がないという、二元論による人間観を採ります。それでも、私たちは一つの人間として、精神と肉体が合体しています。であれば、その相互作用は一体どこで起きるかというと、この松果腺という部位のみで起きると考えていたからです。

 どうして彼がここに注目するかというと、人間の脳を開いてみると、非常に興味深いことが分かるわけです。人間というのは完全な左右対象ではないが、二つの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
徳川家康と貞観政要(1)徳川家康が太宗から学んだ治世の要諦
『貞観政要』とはいかなる書か?家康は何を学んだのか?
田口佳史
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(8)『オデュッセイア』の世界的影響
オデュッセイアが物語のフォーマット?…アラビアンナイトから百合若物語、ひまわりまで
松村一男
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎