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学ぶということを学ぶためのヒントとしての三宅一生の仕事
私のおすすめ本~「学ぶことを学ぶ」ために~
津崎良典(筑波大学人文社会系 教授)
学ぶとは、どういうことだろうか。津崎良典氏は、新しいものの見方・考え方を模索している、或るデザイナーについての本を紹介。そこからヒントを得る、刺戟的な《学びの哲学》に耳を傾けよう。
時間:10分00秒
収録日:2018年9月27日
追加日:2019年4月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●『アーヴィング・ペン 三宅一生の仕事への視点』


 「学びのための本」を選んでほしいとお願いされましたので、私はこの本を選びました。これは『Irving Penn Regards the Work of Issey Miyake』という、アメリカで1999年に出版された本です。日本でも『アーヴィング・ペン 三宅一生の仕事への視点』というタイトルで、求龍堂(美術書を得意としている出版社)から同じ年に出ました。日英同時で出たということだと思います。

 三宅一生は日本でのみならず、世界的にも有名な、1938年生まれの広島出身の日本のファッションデザイナーです。1973年に初めてパリコレクションに参加し、今でもお弟子さんと言いますか、後継者の人たちがコレクション活動を続け、ご本人自身も新しい服のラインを発表され続けています。

 アーヴィング・ペンはアメリカの写真家です。1917年生まれですから、三宅一生よりも二世代年上ですが、日本にもあるファッション雑誌『VOGUE』に所属していたカメラマンです。このアメリカのカメラマンが、三宅一生の作品を撮り続けた写真集がこれになります。

 三宅一生は一枚の布、たった一枚の布という考え方で、クチュールとフランス語で言われる、洋服作りの概念を文字通り塗り替えたと言われています。

 とりわけ「革新的」とファッション史において評価されているのは、1988年に服の形に縫製してからプリーツをかける(折り目をつける)製法を発表したことで、「製品プリーツ」と彼は呼んでいます。普通は、布地にプリーツをかけて、そこから服を作っていくわけです。そうではなく、いったん服の形に縫ってから、プリーツをかける、そのような発想の転換です。

 今日は彼のデザインした服を着てきました。彼はこうした「製品プリーツ」と呼ばれる手法を開発するなどして、ファッション史に大きな足跡を残された方です。

 この写真集ですが、彼がさまざまな作品をパリコレで発表した後に、その作品をアーヴィング・ペンがいたニューヨークのスタジオに送るのです。そのニューヨークのスタジオで、三宅一生とアーヴィング・ペンは一切やり取りしなかった、打ち合わせしなかったと言いますが、服がアーヴィング・ペンのフォトスタジオに届いてから、どのように彼の作品を紹介していくかをモデルと何人かのスタッフで考え、撮りためたという写真集なのです。

 なかなか大柄な本なのです...

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