プラチナ社会における林業
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
なぜ土砂崩れが頻発するのか?林業先進国と日本の違い
プラチナ社会における林業
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
 国土の65パーセントが森で覆われている森林国日本。しかし、その林業の生産性は世界の林業先進国に大きな後れを取っている。「プラチナ構想」に基づく21世紀スマート林業の創生に向けた林業活性化の意味と三つの鍵を小宮山宏氏が解説する。
時間:11分48秒
収録日:2014年6月19日
追加日:2014年7月25日
≪全文≫

●林業活性化が持つ意味-1.森林、国土の維持


 今日は、林業、あるいは森という話をしたいと思います。

 「林業を維持する」ということには、大きく分けて二つの意味があります。一つは、森、国土の維持に直結しています。これから梅雨に入って、その後、秋には台風が続々とやってきて、マスコミ報道でも「大雨が降って土砂崩れ」という話が間違いなく続くわけです。

 では、どうして土砂崩れがこのように頻繁に起こるようになったのか。雨の降り方が激しくなったということもあるのでしょうが、もっと大きな理由は、土砂崩れが起きるような森にしてしまった、ということがあるのです。それはなぜかというと、日本は林業をもうほとんどつぶしてしまっている、やっていないということなのです。

 林業をやらないということは、森に人の手が入りませんから、密林になってしまう、生い茂りすぎるのです。そうすると、下のほうの土のところまで日の光が入らない。すると、根や下草がどんどん弱くなって、土壌が緩んでしまいます。そこに雨が降るので、その緩んだ土壌がざーっと流れるということになります。

 これには、いくつもはっきりした証拠があります。今、日本には林業をきちんとやっているところ、ほったらかして人の手が入らないところが、いくつも混在しているのですが、林業をやっているところでは、土砂崩れはほとんど起きていません。

 ですから、林業を活性化させていくということは、第一に、森、あるいは国土をきちんと維持していくための不可欠な条件でもあるのです。

●林業活性化が持つ意味-2.「林業」という産業育成


 林業の持つ意味のもう一つが、産業としての林業です。おそらく昔、人間が人力で木を切っていたという時代と、今のフィンランドやスウェーデン、あるいはアルプス、つまりオーストリアなどで行われている最先端の林業の生産性には大変な差があります。一人当たりの材木の生産数というのは、昔と比較すると100倍から数100倍違います。今の日本の林業というのは、おそらくその先端の林業と比べると、10倍以上生産性が低いため、これが本質的に、外材の安さに押されるということになっているわけです。

 今、日本は65パーセント、国土の3分の2ぐらいが森で覆われている森林国なのですが、材木の自給率は25パーセント。75パーセントを輸入しているわけ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
もっと知りたいイヌのこと(1)イヌの歴史を振り返る
オオカミはいつイヌになったか…犬の起源と家畜化の歴史
長谷川眞理子
火山の仕組みを知る(1)火山の世界的分布と噴火の仕組み
火山噴火が起こるメカニズムと日本の火山の特徴
藤井敏嗣
Beyond5G・6Gで進む情報通信の民主化(1)情報通信の民主化と「協創」
6Gの研究開発を推進する情報通信の民主化
中尾彰宏
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之

人気の講義ランキングTOP10
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
ウェルビーイングを高めるDE&I(5)心理的安全性の高い組織づくり
無知、無能、邪魔!?…心理的安全性を阻害する5つの要因
青島未佳
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(6)賃金の未来シナリオ
AIが人間の仕事を「完全代替」したらどうなる?…仕事と賃金の未来
宮本弘曉
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博
【入門】日本仏教の名僧・名著~明恵編(1)批判精神と『夢記』
法然の専修念仏を批判…明恵の「あるべきようは」とは?
賴住光子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(1)「生成AI」の画期性
「生成AI」実装の衝撃…人工知能の歴史と特長
渡辺宣彦