2019年ディープラーニングの最新事情
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ディープラーニングを取り巻く3つの動きに注目
2019年ディープラーニングの最新事情
松尾豊(東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻長 教授)
近年、画像認識の精度が非常に上がっているディープラーニングだが、現状はどうなっているのか。「世界モデル」「AutoML」「多数パラメータの科学」といったキーワードを挙げて、ディープラーニングの最新の動向について解説する。
時間:10分20秒
収録日:2019年8月28日
追加日:2019年10月3日
≪全文≫

●AIの「世界モデル」-低次元構造の把握で空間認識


 東京大学の松尾豊です。今日はディープラーニングの最新の動向について、お話ししたいと思います。

 3つトピックがありますが、1つ目は「世界モデル」というものです。これはどういうものか、説明いたします。

 ディープラーニングによって画像認識の精度は非常に良くなってきました。一方で、われわれ人間は何か物を見たとき、それが何かと認識するだけではなく、例えば三次元の空間的な配置についても、一瞬で理解することができるわけですが、そういったことは、今のディープラーニングではまだ十分にできていません。

 物を見たとき、空間の形状、あるいは空間的な配置を理解するような仕組みというものができてくるのですが、これは三次元の空間というものを仮定すると、深さ推定の技術とか三次元的に複数の画像から推定する技術とか、実はこれまでにもいろいろあるのですね。

 人間の知能、あるいは動物の知能でも同じですが、非常に興味深いのは、もともと赤ちゃんとして生まれてきたときには、世界が三次元であるということは知らないにもかかわらず、目で見て体を動かして、ということをやっているうちに、結局三次元だということに気づいているということです。これは、データの潜在的な低次元の構造、つまり次元数が減っているわけですね。三次元と解釈すると、非常につじつまが合う、整合的に説明できる。そういう構造を見つけ出しているのです。

 そういった、原初の背後にある低次元な構造を見つけ出す技術というものが、実は今までのディープラーニングには十分になかった。それゆえに空間の移動をするようなナビゲーションのタスクとか、あるいは、把持、「グラスプ」といいますが、そういう物をつかむようなタスクとか、組み立てるようなタスクなど、いろいろなものに空間的な認知、あるいはタスクのコツのようなものが必要とされているわけです。

 そうした今までできなかったことができるような技術が少しずつ出てきているのです。これを「世界モデル」といいますけれども、2018年、Deep Mind(ディープマインド)が「GQN(Generative Query Network)」という研究を出して、こういったあたりの技術が今後、進んでくるのではないかと思っています。


●ハイパーパラメータの設定が決め手となる「AutoML」


 2つ目が「AutoML」とい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
歌舞伎はスゴイ(2)市川團十郎の何がスゴイか(後編)
歌舞伎十八番を定めた七代目市川團十郎、一番モテた八代目
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(6)秀吉との信頼関係と秀長の軍事能力
文武両道の名将…大大名たちを魅了した秀長の器量とは?
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(6)習近平のレガシー
国力がピークアウトする中国…習近平のレガシーとは?
垂秀夫
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
「逆・タイムマシン経営論」で見抜く思考の罠(2)「400万台クラブ」という幻
「400万台クラブ」―負の歴史に学ぶ本質の見極め方
楠木建