戦争の常識を覆すハイブリッド戦争にどう立ち向かうか
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
知らないうちに侵略される「ハイブリッド戦争」の事例とは
戦争の常識を覆すハイブリッド戦争にどう立ち向かうか
昨今、戦争は新しい時代に突入した。2014年のロシアによるウクライナ侵攻では、サイバー攻撃によっていつのまにか始まり、気づいた時にはウクライナ軍はすでに無力化されていた。こうした新しい「ハイブリッド戦争」に対処するために、日本社会は防衛省や自衛隊を中心として、これまでとは異なる対策を講じなければならない。
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:14分48秒
収録日:2019年6月19日
追加日:2019年10月10日
≪全文≫

●「気づいたときには占領されていた」ロシアのウクライナ侵攻


―― それでは早速、ロシアとウクライナを事例として、昨今、戦争の形態がハイブリッドな形に変わってきているというお話について、お伺いしたいと思います。

小野寺 そのことをお話するために、まず最近の防衛省の動きについてご説明します。防衛省は、「防衛計画の大綱」という安全保障政策に関する基本的な方針を、10年スパンで作成しています。いちばん最近作ったのは2013(平成25)年で、私はその時、防衛大臣を務めました。さらに、2018(平成30)年、防衛大綱をまた見直すことになりました。見直すことを決めた大臣も私です。

 そのきっかけが、これまでとは異なる戦争として位置付けられる、2014年のウクライナへのロシアの侵攻でした。この侵攻では、後に状況を分析した私たち防衛の専門家が腰を抜かすような戦い方が行われました。判明した段階で、私たちは「日本の防衛大綱を見直さないと、とても国が守れない」と思うに至り、急遽、防衛大綱を変更しました。今回はぜひ、ロシアがどんな戦い方をしてきたのかということを知っていただきたいと思います。


 2014年に、ロシアがウクライナを侵攻したということは広く知られている事実です。今でも実は、ロシアの力による現状の変更および占有が続いています。特にクリミア半島は、完全にロシアの手に落ちました。ではその時、どんな戦い方があったのでしょうか。端的にいえばそれは、「いつ起きたか分からない戦争」です。

 まず起点になったのは、何の組織だか分からないような民間の人たちによる、ウクライナの港湾施設や鉄道、電力施設などで展開された、デモでした。不思議に思い警察が調べてみても、特に兵隊とも思えない、なんだかよく分からない集団であるという状況でした。

 そうしているうちに今度は、急にウクライナ全土で携帯電話が通じなくなったそうです。通じなくなっただけでなく、携帯に偽のSNSが流れていきました。これにより、ウクライナ全土が大混乱になりました。その後さらに、急に大規模な停電が主要都市で起きるようになりました。停電が起きたので、誰もが情報を求めます。停電でテレビがつかないのでラジオをつけてみると、そこからはおかしなニュースばかりが流れてきます。「おかしいなあ」と思っているうちに、気が付いてみると先ほど重要施設を取りかこんでい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(6)21カ条の要求と第一次世界大戦
日本が中国に出した「21カ条の要求」の罠と必然…不安定な満洲利権を手にした日本が直面した難題とは?
宮脇淳子
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(6)日本人の「死」と法然
南無阿弥陀仏と唱えて極楽浄土へ…法然の革命の意味とは
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博