2050年の世界を考える―日本再発見
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50年前には想像できなかった「環境の美しい国」日本
2050年の世界を考える―日本再発見(1)公害の克服
科学と技術
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
2014年8月3日開催「プラチナ未来人財育成塾@会津」におけるプラチナ構想ネットワーク会長・小宮山宏氏講演「2050年の世界を考える」を収録。次の世代を担う中学生たちに向けて、小宮山氏が熱く語りかける。(全17話中第4話目)
時間:3分45秒
収録日:2014年8月3日
追加日:2014年9月28日
≪全文≫

●北九州の例に見る、公害の様子と目覚ましい回復


 そして、その中で、日本という国は一体何をしてきた国なのかを考えてみましょう。今は「あれが悪い、これが悪い」という話ばかりが出てくるので、君たちは僕たち大人が悪いことばかりしてきたと思っているかもしれませんが、そんなことはありません。

 「いいことをした」ということも言いましょう。もう習ったのか、まだなのか分かりませんが、「公害」の話です。

 これは日本の北九州市の例ですが、左側はまさに今の中国、上海の空です。日本にもこういう公害の時代がありました。君たちは今こんなことを経験していないし、知りませんよね。

 晴れれば富士山が見える。会津からだと遠くて見えないかな。でも、近くのどこかの山がきれいに見えるはずですよね。僕が学生の頃は、東京から富士山が見えたことなどなかったのです。

 下の写真は洞海湾です。この頃は「四大公害病」という言葉があった時代で、水俣病などがありました。僕は四つ言えませんが、君たちは言えるのでしょうか。

 ここで大事なのは、右側の写真です。今、北九州の空はこうなっていて、海はここまで回復したということです。洞海湾は北九州の大変な景勝地の景色を取り戻し、今はもう泳げるようになったのです。

 ですから、僕たちの世代はこういう公害もつくったけれども、それにはある種やむを得ないところもあったのです。明治維新の後、非常の狭い国土で一気に工業化を進めたために、確かにひどい目に遭いました。

 水俣もひどい目に遭ったし、阿賀野川流域も大変だったし、川崎も四日市も大変だったのです。だけど、回復もさせました。


●日本の「環境の美しさ」は公害経験を克服して取り戻した


 日本は今、世界中の誰に聞いても「環境の美しい国だ」と言います。そんなことは、少し知的な人たちなら皆、当たり前だと思っています。

 ですから、これを言いましょう。「日本は公害を経験したけれども、克服しました」。これが重要なことです。

 これらは、1960年ですから50年以上前の北九州の空と海です。半世紀以上前に日本中がこういう経験をしたけれども、克服したということが、とても重要なことなのです。

 東京の隅田川という川は、今では昼も夜も観光スポットとして賑わっています。でも、1967年、僕が大学を卒業した頃の様子はこうでした...

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