2050年の世界を考える―日本再発見
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2050年の世界を考える―日本再発見(2)エネルギー危機を効率化で克服
科学と技術
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
2014年8月3日開催「プラチナ未来人財育成塾@会津」におけるプラチナ構想ネットワーク会長・小宮山宏氏講演「2050年の世界を考える」を収録。次の世代を担う中学生たちに向けて、小宮山氏が熱く語りかける。(全17話中第5話目)
時間:4分10秒
収録日:2014年8月3日
追加日:2014年9月29日
≪全文≫

●「石油は100パーセント輸入」の日本を襲ったオイルショック


 それからもう一つ、今日は、「日本は世界に冠たることをやっている」ということをいくつか言いたいのです。先ほど、黒船が来ても植民地にならなかったということを言いましたし、それから、環境問題を起こしたけれども、克服しました。

 そして、これは「エネルギー問題」についてです。1973年のことですから、君たちは、まだ当然生まれていないわけで、君たちが生まれる10年ぐらい前になります。その頃、オイルショックというのが起こったのです。これは、いろいろな理由があって、政治的な理由が強かったのですが、石油の値段が一気に跳ね上がったのです。10倍から20倍に跳ね上がりました。

 日本は今言ったように、工業をやって一気に先進国になれたのですが、どうやったのかというと、安い輸入のオイルに100パーセント頼って、高度成長を成し遂げたのだけれども、その石油の値段が一気に10倍に跳ね上がったのです。これは、世界中が大変だったのですが、日本は特に大変でした。石油は100パーセント輸入に頼っていたからです。


●技術者の努力で危機を乗り切る


 ところが、それを見事に乗り切りました。これは、君たちのお父さんかおじいさんの世代かな、その頃の技術者が頑張ったのです。何を頑張ったかというと、これはセメントの例ですが、セメントをつくるには必ずエネルギーが必要なのですが、1トンのセメントをつくるのに、これぐらいのエネルギーを使っていたのを、30年ぐらいで一気に半分まで減らしてしまったのです。

 細かい話はやめて、大がかりなセメントをつくるプロセスがあるのですが、それをどんどん改良していったわけです。技術屋がそのようなことをやるのは当たり前かというと、そんなことはないのです。日本の技術者が頑張ったのです。

 これは、2000年頃のデータですけれど、日本が1トンのセメントをつくるのにこれぐらいのエネルギーを使っていたときに、アメリカは日本の1.7倍も使っていたのです。この図の〝US〟というのは〝United States〟の略ですね。これは、日本の1965年頃の技術だったのです。

 こうした技術開発を僕の友達ぐらいの年齢の人がやったのです。ですから、君たちのお父さんかおじいさんぐらいでしょう。そういう人たちが、本当に血のにじむ...

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