人生の転機~本気で「志」に生きる
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54歳、裸一貫の男に突き刺さった三浦綾子氏の言葉
人生の転機~本気で「志」に生きる(1)松下電器退職と“心の背骨”
上甲晃(志ネットワーク代表)
松下政経塾で14年にわたって人を育て、塾頭、常務理事等を歴任した上甲晃氏。現在は、自身が主宰する「志ネットワーク 青年塾」で、社会に資する若者の育成に注力している。54歳にして松下電器を退職し、裸一貫で起業を決意した契機とは。上甲氏が自らの「人生の転機」を語る。(前編)
時間:11分29秒
収録日:2014年7月17日
追加日:2014年10月16日
カテゴリー:
≪全文≫

●54歳春、言行一致の一念で松下電器を退社し、独立


 上甲晃です。よろしくお願いします。

 人生、齢を重ねてまいりまして、自分の人生を振り返ってみると、やはりあとから振り返れば“あれが大きな転機だな”と思うときがあります。

 私にとっては、54歳のときに松下電器産業(現パナソニック)を辞めて独立をしたのが大きな転機ではないかと、今考えると、しみじみそう思っております。

 私は、縁がありまして松下電器という会社に入ったのですが、40歳のときから、松下政経塾というところで、松下幸之助さんの思いを受けて、人を育てる──特に政治を中心とした指導者を育てる仕事をしてまいりました。私が14年間、政経塾で仕事をしてきた中で、いろいろなことを伝えてきたように思いますが、究極はこの1点に尽きるのではないかという一言があります。

 それは「己の損得を超えろ」という一言ではなかったかと思います。私が14年間松下政経塾に入ってきた塾生諸君に繰り返し言い続けてきた言葉は、この一言ではなかったかと、今しみじみとそう思います。

 特に、政治を目指す人は、地位や役職、あるいは名誉、そういうものに対する執着心が非常に強いので、「己の出世ばかり考えるな、己の栄達ばかり考えるな」ということを、繰り返し教えてきたような気がいたします。

 その私に、松下電器の本社に帰ってこいという転勤の命令が下ったのは、ちょうど平成7年の夏でありました。松下政経塾に行ってもう14年にもなるし、松下電器の社員がいつまでも松下政経塾の運営をしているというのも好ましくないだろうということもありまして、松下電器の本社に帰ってこいという転勤の命令が下ったのでした。

 松下電器の同期入社の面々がその話を聞いて、私に次々と連絡してきました。「本社に帰るらしいな」「お前、運がいいな」というように皆は言ってくれました。なぜ運がいいかと聞きますと、私たちは昭和40年入社なのですが、昭和39年に入社した人までがもう役員になった。今年はわれわれ40年組に役員の椅子がめぐってくる。そういうタイミングで外から帰ってくるのが一番有利だ。事実、私の前任の塾頭も、ちょうどそのぐらいの年齢で松下電器に帰って、役員になりました。そういうわけで、同期の連中は、「お前、同期の出世競争の先頭に立ったな」というように言ってくれました。

 私もサ...

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