野獣の経営、家畜の経営
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
商売は比較優位、日本が参考にすべき国は中国ではない
野獣の経営、家畜の経営(2)成熟した国だからこその経営
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
「昔の日本企業は…」「かつての日本人ビジネスパーソンは…」という言葉を聞くことがあるが、当時と今とでは時代も違えば、ビジネスの環境もまったく違う。「戦争には負けたけれど、経済では」と奮起した当時のモチベーションはもうないが、日本は先人たちが頑張って達成した成熟した国だからこそできる戦い方があるはずだ。(全2話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:8分41秒
収録日:2020年9月18日
追加日:2020年11月12日
≪全文≫

●あの頃は、誰もが「グローバル二等兵」だった


楠木 昔にさかのぼってイメージしますと、昭和30年代というのは、日本のありとあらゆる企業がユニクロ状態になっていて、その1つの例が私の父だと思うのです。現在81歳で、軸受、ベアリング、いわゆる機械部品をやっていた。日本の自動車とかエレクトロニクスよりも前に、グローバルに出ていった業界です。当時の日本の内需は限定的だったので、日本で造るわけですけれども、設備投資して工場を回すと、海外に売りに出るのはマストでした。

―― なるほど。

楠木 とにかくなんとかして売ってこなければいけないとなって、父は、南アフリカのヨハネスブルグの支社長になったのです。当時、20代後半、まだ26歳くらいでした。

―― 26歳で支社長というのはすごいですね。

楠木 支社長といっても(そこに社員は)1人しかいませんから。子どもの頃、私はそこで育ったのですが、例えば、カワサキ(川崎重工業)のバイクを売っている人とか、商社の人もいましたし、いろいろな人たちが、小さなコミュニティ、日本人会か何かをつくって、わいわいやっていました。これを私は「グローバル二等兵」と呼んでいます。おそらく、みんな20代くらいだったのではないでしょうか。

―― グローバル二等兵、面白いですね。

楠木 当時のグローバル突撃兵。南アフリカだけではなく、世界中にそういう人たちが出ていって、「エコノミックアニマル」と言われながら、やっていたわけですよね。あのモチベーションは何なのか。当時、父はどんな気分だったのかなと思うわけです。さきほどお伝えしたように、内需が限定的なので、とにかく新しいフロンティア、ビジネスを拡張していかなくてはいけないという経済的な動機があったと思うのですが、「戦争には負けたけれども経済では」という、理屈を超えたモチベーションもあったのではないでしょうか。

―― それは分かりやすいモチベーションですよね。

楠木 ええ。おそらく、「そんなこと言うんじゃない。戦争に負けたんだから」と親に言われていたはずなのです。

 当時のメディアを見ると、何かのリーズニング、理由や根拠を言うときに、「戦争に負けたのだからしようがねえじゃないか」と、ありとあらゆることに対して言っていたらしいのです。彼らは、少年時代からそうやって言われて育った世代なので、「じゃあ、今度は、経済では...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
「発想力」の技法を学ぶ(1)発見と探究(前編)
“なぜ”を繰り返せ!『発想力の全技法』に学ぶ原因探究法
三谷宏治
営業の勝敗、キリンの教訓(1)やる気のない社員になる理由
なぜ「やる気のある社員」が日本では6%しかいないのか?
田村潤
プロティアン~最先端の自律的キャリア形成(1)変幻自在のキャリア論
なぜ第二の人生のためにキャリアの棚卸しが必要か~組織から自律へ
田中研之輔

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
『貞観政要』を読む(2)著作に登場する人物たち
房玄齢・杜如晦・魏徴・王珪―太宗の四人の優れた側近
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
「同盟の真髄」と日米関係の行方(7)トランプ氏の評価とその実像
こりごり?アイ・ラブ・トランプ?…トランプ陣営の実状は
杉山晋輔
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(2)米中対立の現在地
全ては経済?…米中対立の現状とリスクが高まる台湾危機
佐橋亮
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照