日本の大バーゲンセールが始まった~実質実効為替レートに注目せよ!
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
実質実効為替レートで為替の実力は見るべき
日本の大バーゲンセールが始まった~実質実効為替レートに注目せよ!
伊藤元重(東京大学名誉教授)
伊藤元重氏いわく、今の日本は超円安の大バーゲンセール状態。問題は、この円安がこのまま続くのか、どこかで円高に反転するかなのだが、通貨の真の実力を知るには、プロならではの為替の見方がある。国際経済学のスペシャリストが手ほどきする為替レートの見方とは?
時間:10分18秒
収録日:2014年12月9日
追加日:2014年12月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●2国間の物価上昇率を調整して、為替の実力を見る「実質為替レート」


 日本銀行が2回目の金融緩和を行い、そして安倍内閣の消費増税延期と解散。こういった環境を受けて、為替がさらに円安に進んでいます。円ドルレートで見ると、およそ120円前後というのが現在の状況ですけれども、実は今、それ以上に重要なことが起きているということを今日は申し上げたいと思います。

 前にもこの場でお話をしたかもしれませんけれども、為替レートを見るときには実質実効為替レートという見方があります。

 普通、われわれが日常で議論する1ドル120円とか、あるいは1ユーロ140円というような数字を言っているときには、これは名目為替レートと言いますが、実際の為替の実力を見るためには、物価で調整することが必要になってきます。これを、実質為替レートと言います。

 例えば、ドル安になったと考えてみましょう。1ドル100円が90円になるような動きは、当然その背景にいろいろな理由があるわけです。産業の構造が変わったり、あるいはマクロ経済の変化が起こったりといったことです。

 その中で、重要な要因として物価の変化があります。つまり、アメリカで仮に物価が上昇していくと賃金も上昇しますが、そうした場合には、物価上昇を反映してドル安になるということは、よくある話なのです。しかし、この場合には名目ではドル安になりますが、実質ではドル安になったとは言わないのです。

 なぜかと言うと、アメリカ国内の物価上昇を反映してドル安になるのですから、実際のアメリカの企業の競争力や、あるいは貿易に影響を及ぼすような実質的な為替は変化しないからです。

 こういった意味で、為替レートの変化から物価の動きを調整して修正するという作業が必要になるわけで、これを実質為替レートと言います。現実に、例えば円ドルレートで見ると、実際の為替レートと日本の物価上昇率、それからアメリカの物価上昇率を調整して行うのです。


●通貨の真の実力を知るには、複数の通貨の平均をとる「実質実効為替レート」で見る


 さて、この10年、日本で何が起きているのかと言いますと、非常に長くデフレが続いてきたわけです。デフレが続くということは、日本の国内の物価や、あるいは賃金が下がっていくということですから、仮に名目の円レートが変わらないとしても、物価が下がっ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗

人気の講義ランキングTOP10
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
「進化」への誤解…本当は何か?(6)木村資生の中立説
欧州では不人気…木村資生の中立説とダーウィンとの違い
長谷川眞理子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
経済と社会の本質を見抜く(4)コンプライアンスとリスクの境界線
コンプライアンスよりも重いレピュテーショナルリスク問題
柳川範之
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
健診結果から考える健康管理・新5カ条(7)良い生活習慣が健康寿命を延ばす
その後の余命が変わる!続けるべき良い生活習慣とは
野口緑