●5年間の猶予措置を経て訪れた「2024年問題」
立教大学の首藤若菜と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は物流の「2024年問題」についてお話をさせていただきます。まず、「2024年問題」とは何であるのかということからご説明をしたいと思います。「2024年問題」とは、トラックドライバーにも働き方改革が適用されるという問題です。
トラックドライバーに働き方改革が適用されると、ドライバーにも労働時間の短縮が求められていきます。労働時間の短縮自体は、ドライバーにとっては望ましいことなので、それを「問題」と騒ぐこと自体が問題なのではないかと私は思いますが、労働時間が短縮されることによって荷物が運べなくなるのではないかという懸念が非常に高まっていて、それゆえに「2024年問題」と呼ばれています。
働き方改革にはさまざまな内容が含まれていますが、その中に「時間外労働の上限規制」というものがあります。一般労働者の時間外労働(残業)の上限規制は年間720時間までというように、2019年から施行されています。
ところが、トラックドライバーをはじめとしていくつかの業種においては、労働時間が非常に長いという実態があり、これを2019年の段階で適用するのはまだ時期尚早であるとして、その後5年間の猶予措置が設けられました。その適用が2024年からとなり、「2024年問題」と呼ばれている実態があります。
かつ、トラックドライバーについては、一般のドライバーや労働者が年間720時間(を上限規制とする)のに対して、それよりも240時間長い、年間960時間という(時間外労働の)上限規制が適用されることになりました。
●トラック業界の「働き方改革」が与えるインパクト
なお、トラックドライバーにはこの労働基準法の時間規制の他にも、「改善基準告示」という別のワークルールも適用されています。自動車を運転するという特性から、例えば「ハンドルを握る時間」などもルールによって定められてきたわけです。
労働基準法の改正に合わせて、こちらの改善基準告知の改正も進み、この図表に示しているものが主な改正内容となります。
例えば、1年の拘束時間。従来は3516時間だったものが、これからは3300時間というように見直しが進みました。拘束時...