Q.外交で各国のトップと会談をしてきた際のエピソード、印象に残った人は
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「一対一の勝負のしがいがある」と感じたプーチンという男
Q.外交で各国のトップと会談をしてきた際のエピソード、印象に残った人は
野田佳彦(衆議院議員/第95代内閣総理大臣)
野田佳彦が首相在任中の首脳会談にみた、オバマとプーチンについて語る。
時間:3分39秒
収録日:2013年11月6日
追加日:2014年2月24日
カテゴリー:
 何よりも日米同盟が日本の外交、安全保障の機軸だというように私はずっと言い続けていましたし、東日本大震災のトモダチ作戦などを見てそれを確信したものですから、日米同盟を大事にしようと思いました。特に21世紀初頭は日米同盟を軸にしながら、日本の外交、安全保障をしっかりと環境整備していくということが仕事だと思っていました。オバマといかに良好な関係を保てるかということは、一番心を砕いた部分です。

 それで、ファーストコンタクトからホノルルのAPECで会談をやりました。そのときに、TPP交渉参加に向けて協議するとかということも決めたのですが、オバマは実務的なことをすごく気にする人で、「実はこんな宿題があるんだよね」というようなことを言うのです。それについて、一つ一つ答えました。ハーグ条約の問題とか、牛肉の問題とか。今のTPPについても自分たちの立場を言って。一つ一つ実務的な答えを持っていると、彼はやはりそこからかみ合ってくる人です。極めて実利的、実務的、現実的な人なので、その特性が分かりましたから、首脳会談では実務をどんどんつめられるような関係にしました。これは、総じてうまくいっていたと思うのです。

 私は、1941年、チャーチルとルーズベルトが大西洋憲章を作って、そのあとにソ連が入ってきて国連を作ったという基盤があったように、今は大西洋ではなく太平洋の時代になりましたので、太平洋憲章を日米主導で作りたかったのです。これが、私の外交戦略の基本だったのです。そのルール作りですが、貿易投資はTPPになるし、東シナ海や南シナ海の海の安全を巡るルール作りもアメリカを巻き込んでやっていきたい。その意味では、まだ道半ばだったのですけれども、オバマ大統領とは、そういう実務も踏まえて、戦略的に取り組んだつもりなので、うまくいっていたというように思います。前の前の先輩のときに少し困難な状況は生まれたのですが、かなり回復をして信頼感ができたと思うのです。 オバマさんとはそういう関係です。

 それで、いろんな首脳とお会いしまして、一人一人論評するのも失礼だと思いますけれども、この人は一対一の勝負のしがいがあるなと思ったのは、やっぱりロシアのプーチンです。お互いにこんな役所が用意したメモなど見たら、もう会談できないという感じで、目と目をまさに格闘技のように、にらむことはないですけれども、見つめ合いながら真剣...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二