●変貌するアジアの5年先を見て走っているか
―― 先生の言われている話ですが、アジアの変貌は今ものすごい勢いで、とにかく速いですよね。中国を例に取っても、2004年と2011年では全然別物のようです。そして、2011年以降、この2、3年では、またがらりと変わってきています。
白石 すごい速さで変わっていますね。
これは、ビジネスの世界ではもうすでに定着していることですが、政治もやはりそのような考え方をしなければいけないと、最近常々思っていることなのですが、結局、バックミラーを見ていては駄目なのです。できれば10年ぐらい先を見据えたい。しかし、10年後はなかなか分かりづらいので、5年ぐらい先の世界やアジアがどうなっているかを考えて、その中で自分がどのように有利な位置に付けるかを考える。それが発想の根本だと、私は思います。
そうすると、2020年あたりのアジアが相当変わっているのが見えてくるはずです。そこを見ずに、日本が「科学技術では先端を走っている」「先進国で、豊かだ」「かつてのODA大国だ」などといつまでも思っていても、周りはもう全然そうは見ていない。周りは2020年を見て走っているので、「それは、もう20年前の話でしょ」ということになりかねない感じがあります。
●日本企業の想像を絶する急成長アジアの規模感覚
―― その認識のギャップを、日本国内では気が付いていないですね。まだアジアの中で一番だ、と思っている。しかし、1人当たりGDPで見ても、今はもう30位ぐらいですか。1990年代の頭には確かに2位でしたが、ここまで落ちてしまっている。
白石 おっしゃるとおりです。私は最近、半ばショック療法的にですが、特にビジネスマンの人が多いときに申し上げている話があります。インドネシアのライオン・エアというLCCが2012年、ボーイング社に飛行機を3000機注文したという話です。
―― それは、すごいですね。
白石 日本企業の感覚からすると、想像を絶する規模ですね。しかし、今のアジアは、そのぐらいやっても不思議ではない。そこに現実感が伴うだけの成長を、すでに達成しています。
一事が万事と言いますが、彼らはそういう考え方をしています。中国もやはりまだそうだと思いますし、東南アジアもそうです。恐らく数年すると、インドもそうなってくるのではないかと思...