アメリカ型キャリア・パターンで大学変革を
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
いい研究者がいいマネージャーとは限らない
アメリカ型キャリア・パターンで大学変革を
白石隆(公立大学法人熊本県立大学 第3代理事長/国際政治学者)
急成長するアジアの中で、日本はせめて5年先を見据えたいと、政策研究大学院大学(GRIPS)学長・白石隆氏は言う。となると、当然ながら、人材育成のための大学自体に変革が問われていくだろう。企業が持っている当たり前の見方や危機感を大学制度の中に組み込んでいくために、白石氏が注目するのは、アメリカのキャリア・パターンの導入だ。
時間:13分14秒
収録日:2015年1月21日
追加日:2015年5月14日
カテゴリー:
≪全文≫

●変貌するアジアの5年先を見て走っているか


―― 先生の言われている話ですが、アジアの変貌は今ものすごい勢いで、とにかく速いですよね。中国を例に取っても、2004年と2011年では全然別物のようです。そして、2011年以降、この2、3年では、またがらりと変わってきています。

白石 すごい速さで変わっていますね。

 これは、ビジネスの世界ではもうすでに定着していることですが、政治もやはりそのような考え方をしなければいけないと、最近常々思っていることなのですが、結局、バックミラーを見ていては駄目なのです。できれば10年ぐらい先を見据えたい。しかし、10年後はなかなか分かりづらいので、5年ぐらい先の世界やアジアがどうなっているかを考えて、その中で自分がどのように有利な位置に付けるかを考える。それが発想の根本だと、私は思います。

 そうすると、2020年あたりのアジアが相当変わっているのが見えてくるはずです。そこを見ずに、日本が「科学技術では先端を走っている」「先進国で、豊かだ」「かつてのODA大国だ」などといつまでも思っていても、周りはもう全然そうは見ていない。周りは2020年を見て走っているので、「それは、もう20年前の話でしょ」ということになりかねない感じがあります。


●日本企業の想像を絶する急成長アジアの規模感覚


―― その認識のギャップを、日本国内では気が付いていないですね。まだアジアの中で一番だ、と思っている。しかし、1人当たりGDPで見ても、今はもう30位ぐらいですか。1990年代の頭には確かに2位でしたが、ここまで落ちてしまっている。

白石 おっしゃるとおりです。私は最近、半ばショック療法的にですが、特にビジネスマンの人が多いときに申し上げている話があります。インドネシアのライオン・エアというLCCが2012年、ボーイング社に飛行機を3000機注文したという話です。

―― それは、すごいですね。

白石 日本企業の感覚からすると、想像を絶する規模ですね。しかし、今のアジアは、そのぐらいやっても不思議ではない。そこに現実感が伴うだけの成長を、すでに達成しています。

 一事が万事と言いますが、彼らはそういう考え方をしています。中国もやはりまだそうだと思いますし、東南アジアもそうです。恐らく数年すると、インドもそうなってくるのではないかと思...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
徳と仏教の人生論(5)陰陽と東洋思想を知ることの意味
『孟子』に学ぶ、リーダーが過酷な境遇に追い込まれる意味
田口佳史
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
〈続〉認知バイアス~その仕組みと可能性(1)概念のバイアス〈前編〉
非合理なのに誰もがハマる「概念のバイアス」とは
鈴木宏昭
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤