●5年目は「健康の王国」に向けて
5年目の今年は、いよいよ「健康の王国」をいま建設中です。「健康」では何をやるのか。あまり自慢すると家内に叱られるのですが、私は37年間、雪の日に一度遅刻をしただけで、会社を休んだことがありません。老眼も近眼もありませんし、がんには絶対ならない自信を持っています。検査にもめったに行きませんが、たまたま検査をしてみたら、一時は減っていた髪の毛も増えてきました。やはり健康は良い。だから「健康の王国」をつくろうということです。
私たちがまず考える健康は、いろいろな先生方が研究されている心の健康です。ストレスで頭が痛かったりお腹が痛くなる人が多い。しかし実は、適度のストレスは非常にいいものなのです。
「健康の王国」には健康レストランに付随してガラス張りの小さな「野菜工場」を設置し、セラミックの筒の中に根を入れて野菜を栽培します。その出来立てを健康レストランで食べていただくと、地元の地産地消で新鮮な野菜が味わえる。セラミック栽培がなぜ良いかというと、容器の空洞の中では、根の半分は水分に浸かるが、半分は届かずに空気に接している。そのことで根にストレスがかかり、植物全体としては元気になり、良い野菜が育つのです。これが「適度なストレスは健康にいい」というメカニズムです。
●ストレス解消と食事で、心から健康に
ただ、やはりストレスがあり過ぎて、お腹や頭が痛くなるのは問題です。心の健康について言うと、ハウステンボスには花もあるし、音楽もショーもあります。こうしたものを役立てて、心を健康にしていただく。
さらに私がなぜ病気にならないかというと、あまりストレスを感じていないことと関係があるようです。ストレス試験をやってみると「ほとんどない」と言われます。とりあえずはあまり悩まない。たとえ悩んでも1日で忘れます。心の健康のコツかもしれませんね。
その次が「医食同源」で、やはり食べ物を大切にしたい。新鮮、無農薬、そしておいしいもの。会社経営もバランスが肝心ですが、栄養もバランスを崩すとおかしくなってしまいます。できる限り食事を通じて栄養のバランスを取れるような施設をつくろうということで、健康レストランをつくっている最中です。
さらに、ハウステンボス内には天然温泉があります。せっかくですから、温泉設備もつくっています。ちょうど大江戸温泉(「大江戸温泉物語」江東区青梅)のようなスーパー銭湯ですね。九州は家族風呂がいけますから、ぜひ来ていただいたときにはきれいな家族風呂、露天風呂、岩盤風呂を楽しんでください。あと数カ月で完成する予定です。
●健康度を測定し、攻めの「医療観光」へ
それから「けんこうの館」をつくって、健康の度合いを測定していきます。一口に「健康」と言っても、人によってその度合いが違うので、血管年齢、皮膚年齢、脳年齢などの簡単な検査を受けていただき、すぐに結果が出るようにします。これらは、今はすぐに分かるようになっていますし、人それぞれに体質が違うので、まずはチェックしていただきます。
この後の段階からは課金対象としますが、まず血液検査です。朝のうちに血液検査をすれば、夜には問題があるかどうか分かります。それから遺伝子検査、免疫検査。大体歳をとると、免疫力が落ちてくると言われます。見ていると、何か分かりませんが、足りないものが出てくるようです。
それらの結果に基づき、摂取した方がよい食べ物やサプリについてのアドバイスを提示できます。ハウステンボスに来て、健康になっていただく「医療観光」をやろうということで、今年5年目の目標として準備をしています。
細かく言えばもっといろいろありますが、あまり言うと、他のことが話せなくなるので、このぐらいにします。おかげさまで、結果として一昨年は50億円台、昨年は85億円、今年は100億円以上の利益が出ると思います。
●文化・芸術のないビジネスなんて
この頃私は、ハウステンボスの再建話を最初に断ったのは間違いだったと反省もしています。最初、私はこれを石ころか石炭だろうと思っていたのです。「せいぜい良くて石炭だろう、大変だな」と思いながら行きましたが、実際に最初ははっきり言って大変でした。今日は失敗の中でも二つか三つしかお話ししませんでしたが、もっといろいろと失敗を重ねています。
なぜやって良かったかというと、一つには、失敗から学ぶことが非常に多くあることが分かったから。もう一つは、ハウステンボスをやる前の私はほとんど文化・芸術に関係がなかったのが、その大切さに目覚めたことです。心にも、体にも良い。今までは、それがあまり分からず、「文化・芸術なんて、金がかかるだけ。そんなのより、もうけた方がいい」と言ってきたわけです。文化・芸術...