欧州から見たアベノミクス
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史上空前のベースマネー増を行った日本を世界は見ている
欧州から見たアベノミクス(2)日本病を克服するか
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
EUが抱える矛盾に深く悩むヨーロッパ人が注目するのは、自分たちの最も恐れる「死に至る病=デフレ」を日本政府がどうやって克服するのかという手法についてだ。経済専門家として招聘された千葉商科大学学長・島田晴雄氏は、ヨーロッパの知識人に対して「アベノミクス」をどう説明したか。フランスにおける講演内容をうかがってみた。(全3話中第2話目)
時間:12分37秒
収録日:2015年3月31日
追加日:2015年5月18日
≪全文≫

●デフレ克服を掲げたアベノミクスと財政再建計画


 まさに、このヨーロッパの悩みが深まった時に安倍晋三さんが現れました。そして、世界史上初の長期デフレに落ち込み、20年近く一人負けしていた日本を「克服させる」と言ったのです。どうやって克服するかというと、「三つの矢」です。

 一つは「金融の矢」です。異次元的な金融緩和によってたくさんのベースマネーを世界に供給し、人々の期待感を変える。すると、「円が安くなる」と、投機家たちが期待して殺到し、実際に安くなりました。円安になると輸出が伸びる可能性が出て、輸出企業がもうかると予想されて、株価はどんどん上昇する。そういうことで、それなりの効果が上がります。

 しかし、アベノミクスの最大の狙いは、デフレに沈んだ日本人の気持ちをインフレマインドに変えるところにあります。金融政策は人々の期待感を変えるのがほぼ唯一の役割で、金融政策だけで経済が成長するのはほとんど不可能だろうと思われます。しかし、とにかく金融政策が一番バッターで、ホームランを打っていますから、効果が及んできているのは事実です。

 デフレマインドの経済からインフレマインドの経済へ、人々の心と行動が変われば、構造が変わります。大変な構造転換ですから、行く手は険しいガタガタ道です。そこをスムーズに越えるには機動的な財政策が必要ですから、第二番目として財政政策が行われました。

 安倍内閣が思い切った財政支出を行っているのは、中長期財政再建のためです。2010年にスタートした財政再建計画の中で、2020年には基礎的財政収支(プライマリー・バランス=PB)を均衡させようと企図しました。それがうまくいかなくなる可能性が出てきた場合には、機動的な財政支出が必要になる。そう考えて、現に実行しているわけです。


●「死に至る病を日本は克服できるのか」に集まる注目


 ヨーロッパ人はそれをよく見ています。ヨーロッパもまた、放っておくと「日本病」になって沼のふちに沈む。それでは困るからです。

 デフレは「死に至る病」だと言われています。その理由は、人々や企業がデフレ経済の進行を認識し、そのマインドセットになったときに、どういう行動を取るか考えてみれば分かります。デフレの中で一番賢い行動は、いま持っているお金を使わないことです。いま使うより3年後に使う方が価値が高いわけで...

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