半年で2倍に急上昇した中国株~バブル到来か~
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
株価急上昇を正当化できるほど中国経済は良い状態にはない
半年で2倍に急上昇した中国株~バブル到来か~
植田和男(第32代日本銀行総裁/東京大学名誉教授)
ここ半年で2倍にまで急上昇した中国株に世界の注目が集まっている。しかし、これはバブル現象なのではないかという懸念が大きいのも事実だ。中国経済における経済成長率と経済的非効率増大という図式や、危機感の増す不良債権問題などの背景を踏まえ、東京大学大学院経済学研究科教授・植田和男氏が中国株価急上昇を緊急解説。
時間:16分09秒
収録日:2015年6月16日
追加日:2015年6月25日
≪全文≫

●値波乱しつつも急上昇した中国株


 今日は中国の話、特に最近の株価の急上昇とその背後にあるマクロ経済的な動き、若干政策的な動きについて触れてみたいと思います。

 まずこちらをご覧いただきたいと思いますが、これは中国の上海の株価指数です。これは去年(2014年)の暮れ、11月くらいからデータを出していますけれども、あっという間に半年くらいで2倍くらいに上昇しています。非常に急激な上昇率で、世界中の人が驚いているというところであるかと思います。ただ、ここにきてある種の上値波乱のような動き、つまり、時々急落して、また急回復してということを繰り返しながら、今日(2015年6月16日)も少し下がっていますが、基調としては一応まだ上がり続けているというところです。


●株価上昇の背景と原因について


 これはもう少し長い期間で見ますと、このような感じになります。2005年くらいからですが、ご記憶の方も多いかと思うのですが、2007、8年にかけて、やはり1年前後の間に中国株がものすごく上がりまして、3倍くらいにはなっています。ただ、その後リーマンショックもあったということもありまして、やはり1年くらいでほとんど元の水準に戻ってしまうという、これだけを見ますと、典型的なバブルのような動きを示していたわけです。その後5年くらいずっと低迷を続けまして、今回また2倍くらいに上がったというところであるわけです。

 しかし、中国の経済がこういう株価の上昇を正当化するほど強いかというと、決してそうではありませんで。先ごろ発表されましたGDP統計を見ましても、第1四半期は、対前年比で7パーセント成長。IMF(国際通貨基金)は、今年全体の成長を6.8パーセント台と予想しています。

 この7パーセントという数字は、リーマンショック直後以来の低さという非常に低い成長率になっていますし、これは対前年比では7パーセントですが、一つ前の四半期との対比でいいますと、1.3パーセントしか成長していませんので、ここだけをとりますと、日本よりも低い成長率になっています。

 あるいは、もう少し分かりやすい製造業の生産指数をご覧いただきますと、リーマンショック直後の景気対策をやったところはものすごく伸びたわけですが、その後、ずっと低下を続けて、最近は5~6パーセント台というような、中国としては非常...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
いま夏目漱石の前期三部作を読む(8)『門』の世界観と日本の近代化
伊藤博文暗殺…日本近代化で本当にいいことがあったのか
與那覇潤
「江戸のメディア王」蔦屋重三郎の生涯(8)大首絵の成功と蔦重の最期
謎の絵師・東洲斎写楽を「役者絵」で起用した蔦重の思惑
堀口茉純
『タテ社会の人間関係』と文明論(8)タテ社会の構造改革を議論する
ヒントは幕末期の処士横議!?…タテ社会の構造改革に向けて
與那覇潤
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二