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DATE/ 2017.11.08

牛乳で背が伸びる?伸びない?昔とは違う今の常識

 昔は常識だったことが、今では非常識になってしまったことってたくさんありますよね。例えば昔の運動部は部活中に水を飲むと叱られたために、ひとくちも水を飲めませんでしたが、今では熱中症対策のためにもこまめな水分補給が推奨されるようになりました。今では非常識となってしまった「かつての常識」と、その常識が常識でなくなったのはなぜかを紹介していきましょう。

「牛乳を飲めば身長が伸びる」ってホント!?

 「牛乳飲まないと背が伸びないよ」という言葉が定番だった牛乳。毎日給食で出てくるたびに憂鬱な気分になった人も少なくないはず。これまでは牛乳に含まれるカルシウムが骨を伸ばしてくれると信じられていましたが、実はこれが間違い。身長を伸ばしてくれるのはカルシウムではなくタンパク質の役割で、カルシウムは骨を強くする役割を担っています。牛乳は骨を丈夫するのには役立つけど、背を伸ばすこととはあまり関係ない、なんて驚きですよね。身長を伸ばすためには食事のバランスや睡眠の質を向上させることが大切だといわれています。

「すり傷ができたら一刻も早く消毒する」ってどうなの!?

 膝小僧をすりむいて保健室に行ったら、丸いガーゼでぽんぽんと消毒されて痛い思いをしたことは誰しもあるはず。しかし最近では、そうした傷は消毒液ではなく水で洗い流すだけで充分だといわれるようになりました。消毒液はばい菌を殺菌してくれますが、自然治癒力を持った人間の細胞まで殺してしまうために、傷の治りが遅くなってしまうというのです。また、人間の細胞や組織は乾燥に弱いため、消毒したらバンソウコウを貼らないのが常識でしたが、これもあまりオススメできません。水でよく洗って乾燥させないようにする、というのが最近の常識となっています。

「鎌倉幕府が開府したのは1192年」ってホントなの!?

 日本史の年号を覚える語呂合わせとしてメジャーな「1192(いいくに)つくろう鎌倉幕府」ですが、最近ではこの語呂が通用しなくなりました。1192年は鎌倉幕府初代将軍である源頼朝が征夷大将軍になった年号だというだけで、幕府を開府した年でないというのです。現在の教科書では、鎌倉幕府は段階的に成立したためにはっきりした年号を明記しない教科書も増えています。他にも「鎖国という表現は使われなくなった」「日本最古のお金は和同開珎ではなく富本銭」など、歴史研究が進むにつれて教科書の常識も変わっていっています。

「電話の出るときには『はい、○○です』と名字を名乗る」ってどうなの!?

 昔、家にかかってきた電話にはきちんと名字を名乗って出るよう、教えられていました。しかし最近では個人情報の扱いには神経を使うようになり、かかってきた電話にこちらから名乗るのではなく、相手から「○○さんのお宅ですか?」という言葉を待つようになりました。個人情報をむやみに相手に教えないという意識が家庭にも広がっていることがうかがえます。

「鼻血が出たときは上を向いて止まるのを待つ」ってどうなの!?

 子どものころに鼻血が出たときには、鼻にティッシュをつめて上を向いて、首の後ろをトントンとしてもらった思い出があるのではないでしょうか。しかしこの方法は、血液がのどに流れ込んでしまって気分が悪くなってしまうために正しくないといいます。今の対処法は、軽く下を向いて鼻をつまんで圧迫するという方法とのこと。ティッシュを詰めるのはかえって血管を傷つけることもあるため、おすすめできないといいます。

 いかがでしたか?しみじみと懐かしむ気持ちがわきあがるとともに、時代がこんなに変化したんだということを感じられたのではないでしょうか。

<参考サイト>
・ぬかたクリニック:どうすればもっと身長を伸ばすことが出来る
http://www.kobekids.net/tokumei.html
・現代ビジネス:間違いだらけの「家庭の医学」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1103
・帝国書院:社会科Q & A - 歴史
https://www.teikokushoin.co.jp/q_and_a/history/
・朴澤耳鼻咽喉科:鼻血が出たときの対処法
http://hozawa.jp/news/2012/11/post-97.html
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授