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DATE/ 2018.05.27

汗かいてデトックスは嘘?サウナの健康効果は?

 疲れた時にはサウナで汗を流してリフレッシュ、なんて人も多いはず。実際にサウナに入った時、体にはどんなことが起きているのでしょう?サウナに入ることで期待できる効果や理想的なサウナの入り方とともに迫ってみたいと思います。

効果が最も得られるサウナ入浴法とは!?

 血行が良くなることで筋肉の緊張が緩和される、自律神経が整う、さらに美肌効果も、などメリットは様々。サウナ大国・フィンランドの大学の研究によると、血圧が低下し、血管壁の伸展性が増加するという結果が得られたそうです。ただしこの研究は100人の参加者が30分間サウナ浴を行う、という条件下で行われたもの。入り方によっても効果が変わってきそうです。

 入り方という点で言うと、サウナの後に水風呂という流れが一般的ですが、それぞれ何分間ずつ入るローテーションを繰り返すのが効果的なのでしょうか?「サウナ入浴法の検討 入浴時間の設定が生体諸機能に及ぼす影響」という日本体力医学会の論文では、入浴法を4パターンに分け、その効果を調査しました。4パターンは以下の通りです。

(1)5分入浴し、1分冷水浴
(2)7分入浴し、1分冷水浴
(3)7分入浴し、2分冷水浴
(4)10分入浴し、2.5分冷水浴

 それぞれ3回繰り返した時の血圧や心拍数などを計った他、運動能力の計測も行いました。すると、もっとも効果があったのは(1)の5分入浴し、1分冷水浴のパターン。長時間入るよりも、小まめにサウナ→水風呂を繰り返した方が効果は出やすいのだそうです。

「デトックスはウソ」サウナ愛好者からショックの声

 サウナと言えば、体内にたまった毒素を排出するデトックスというフレーズもよく付いてきますが、ナショナルジオグラフィック日本版サイトに「『汗をかいてデトックス』はウソだった、研究報告」という記事が掲載され、波紋を呼びました。

 サウナに入ることで発汗はするものの、「普段の食生活で体内に取り込む汚染物質のうち、汗で出る量は0.02%に過ぎない」とのことです。あちこちで喧伝されてきた「サウナでデトックス」は科学的には立証されていない現象だったことにショックを受ける声もネット上で多く見られました。

 とはいえ、サウナの健康効果全てが否定されたわけではありません。それに、体へ効果があるかどうかももちろん大事ですが、同時にリラックスすることで得られる精神的な充足も同じくらい重要です。ということで、デトックスの根拠がないからと言って、サウナを嫌いにならないでくださいね。

<参考サイト>
・LINK de DIET:サウナはなぜ健康に良いのか、科学者が解明
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=62827&-lay=lay&-Find
・体力研究:サウナ入浴法の検討 - 入浴時間の設定が生体諸機能に及ぼす影響 -
https://ci.nii.ac.jp/els/contents110001927263.pdf?id=ART0002120486
NATIONAL GEOGRAPHIC:「汗をかいてデトックス」はウソだった、研究報告
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/041200164/
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