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長生きは良いことか?実際の高齢者の声は…?
「健康で長生きすること」は人類共通の願いだと思われてきましたが、着々と進む「超高齢化社会」を受けて、「長生きは本当に幸せなのだろうか」から「長生きはいいことか」という議論も出るようになりました。きっかけは、2017年8月に脚本家の橋田寿賀子さんが出版した『安楽死で死なせて下さい』あたりでしょうか。実際のところはどうなのか。第一生命経済研究所の主席研究員で『ひとり終活』などの著書もある小谷みどり氏のレポートを拝見してみました。
一方で国立社会保障・人口問題研究所が2017年に実施した「生活と支え合いに関する調査」によれば、「長生きすることは良いことだ」という考え方に対して、「とてもそう思う」と回答した人は全体で24.3%、「ややそう思う」(43.6%)を合わせても67.9%にとどまっています。つまり、3人に1人は、長生きすることを良いことだとは思っていないことがわかります。
内訳をみると、20~30代では長生きを是とする意見が70%を超えているのに、40代以降になると減少し、70代になると「とてもそう思う」「ややそう思う」の合計は61.5%しかありません。
最近では平均寿命と健康寿命の関係も話題に上りますが、この統計でも、身体的健康度と長生きについての意識には強い相関関係が見られました。回答者自身が健康であればあるほど、「長生きは良いことだ」と考える率は高くなるのです。
これは近年注目されている「社会的健康」という考え方で、身体的・精神的な健康と同じぐらい重要視されてきています。この調査によると、65歳でひとり暮らしをする男性では、毎日会話(電話を含む)をする人は49.0%と半数以下、6~7人に1人は2週間のあいだ誰とも一度も会話をしていません。ひとり暮らしの高齢女性は男性に比べれば毎日会話をする人の割合は高いですが、それでも62.3%にとどまっています。
老後はひとり暮らしか夫婦2人が当たり前の時代において、身体・精神的健康度と同様に「ひとりの個」として社会とのつながりをいかに持続できるかが、長生きにあたってのQOL(Quality of Life)につながると小谷氏は分析、生きがい、やりがいなど、高齢者の社会的健康を守る活動にふれています。
2018年敬老の日(9月17日)にちなんで東京都が行った統計によると、東京都の高齢者(65歳以上)人口は307万8千人で、過去最高を更新。高齢化率は23.3%で、過去最高を記録した前年から横ばい、「東京都の4.3人に1人が高齢者」という状態は変わりません。また推計開始以来、75歳人口が初めて65~74歳人口を上回るという結果が出ています。
「東京新聞」では、2017年9月9日に「長生きは幸せか」と題する記事を掲載しました。2018年に90歳を迎える歌人岡井隆さん、『日本人の死に時』などの著書を持つ作家で医師の久坂部羊さんに並んで、立命館大学生存学研究センター長の立岩真也さんが、次のようなことを言っています。
「お年寄りは昔から『もう(長生きは)いいよ』と言うものです。それを聞いた人は『まだ元気じゃないですか』と返すのが礼儀。大げさにいえば、それが社会だと思うんです。『もう死にたい』と言われたら『大丈夫だよ』と言う。」
この当たり前の心遣いを忘れたくないものです。
「長生きが良いこと」と思っているのは30代まで?
厚生労働省『人口動態統計』によれば、2016年に亡くなった人のうち、90歳を超えていた人は、男性で14.2%、女性にいたっては37.2%もいたといいます。もはや80歳代で亡くなった方を「天寿を全うした」とは呼べない時代が来ているということです。一方で国立社会保障・人口問題研究所が2017年に実施した「生活と支え合いに関する調査」によれば、「長生きすることは良いことだ」という考え方に対して、「とてもそう思う」と回答した人は全体で24.3%、「ややそう思う」(43.6%)を合わせても67.9%にとどまっています。つまり、3人に1人は、長生きすることを良いことだとは思っていないことがわかります。
内訳をみると、20~30代では長生きを是とする意見が70%を超えているのに、40代以降になると減少し、70代になると「とてもそう思う」「ややそう思う」の合計は61.5%しかありません。
最近では平均寿命と健康寿命の関係も話題に上りますが、この統計でも、身体的健康度と長生きについての意識には強い相関関係が見られました。回答者自身が健康であればあるほど、「長生きは良いことだ」と考える率は高くなるのです。
65歳以上では、「誰かとしゃべったか」が幸福の物差しに
さらに、長生きの当事者である65歳以上の人だけを取り上げると、身体的健康度の高さばかりが長生きを是とするわけではないことがわかります。それは、人との会話の頻度です。毎日誰かと会話している人では66.2%が長生きを是とし、2週間に1度も人と会話をしない人では46.5%しかそうは思わなくなるのです。これは近年注目されている「社会的健康」という考え方で、身体的・精神的な健康と同じぐらい重要視されてきています。この調査によると、65歳でひとり暮らしをする男性では、毎日会話(電話を含む)をする人は49.0%と半数以下、6~7人に1人は2週間のあいだ誰とも一度も会話をしていません。ひとり暮らしの高齢女性は男性に比べれば毎日会話をする人の割合は高いですが、それでも62.3%にとどまっています。
老後はひとり暮らしか夫婦2人が当たり前の時代において、身体・精神的健康度と同様に「ひとりの個」として社会とのつながりをいかに持続できるかが、長生きにあたってのQOL(Quality of Life)につながると小谷氏は分析、生きがい、やりがいなど、高齢者の社会的健康を守る活動にふれています。
本格的な超高齢社会、「もう死にたい」と言われたら?
小谷氏の研究では、「配偶者と自分と、どちらが先に死にたいか」という質問も用意。男性と女性の差、年齢による差など、興味深い数字が発表されています。2018年敬老の日(9月17日)にちなんで東京都が行った統計によると、東京都の高齢者(65歳以上)人口は307万8千人で、過去最高を更新。高齢化率は23.3%で、過去最高を記録した前年から横ばい、「東京都の4.3人に1人が高齢者」という状態は変わりません。また推計開始以来、75歳人口が初めて65~74歳人口を上回るという結果が出ています。
「東京新聞」では、2017年9月9日に「長生きは幸せか」と題する記事を掲載しました。2018年に90歳を迎える歌人岡井隆さん、『日本人の死に時』などの著書を持つ作家で医師の久坂部羊さんに並んで、立命館大学生存学研究センター長の立岩真也さんが、次のようなことを言っています。
「お年寄りは昔から『もう(長生きは)いいよ』と言うものです。それを聞いた人は『まだ元気じゃないですか』と返すのが礼儀。大げさにいえば、それが社会だと思うんです。『もう死にたい』と言われたら『大丈夫だよ』と言う。」
この当たり前の心遣いを忘れたくないものです。
<参考文献・参考サイト>
・『安楽死で死なせて下さい』(橋田寿賀子著、文春新書)
・第一生命経済研究所ライフデザインレポート:長生きは良いことか
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/ldi/2018/wt1808e.pdf
・東京新聞:長生きは幸せか
http://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/hiroba/CK2017090902000211.html
・『安楽死で死なせて下さい』(橋田寿賀子著、文春新書)
・第一生命経済研究所ライフデザインレポート:長生きは良いことか
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/ldi/2018/wt1808e.pdf
・東京新聞:長生きは幸せか
http://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/hiroba/CK2017090902000211.html
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