社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
世界で「外国人訪問者」が最も多い都市はどこ?
国際市場調査を行っているユーロモニターインターナショナルが各国主要都市の2017年の外国人訪問者数を統計した「外国人訪問者数 世界TOP100都市(2018年版)」を発表しました。それによると、訪問者数のトップ3は香港、バンコク、ロンドンとなり、日本の都市からは東京、大阪、京都、千葉の4都市がランクインしました。
外国人訪問者数ランキングトップ10は以下の通り。香港、バンコク、シンガポール、マカオ、クアラルンプール、深センと、アジアの都市が半数以上を占めています。
1位 香港(香港、中国)
2位 バンコク(タイ)
3位 ロンドン(イギリス)
4位 シンガポール(シンガポール)
5位 マカオ(マカオ、中国)
6位 パリ(フランス)
7位 ドバイ(UAE)
8位 ニューヨーク(アメリカ)
9位 クアラルンプール(マレーシア)
10位 深セン(中国)最先端都市
※最低24時間以上12ヶ月未満の滞在の旅行客が対象。訪問目的は問わない
※各訪問者は個別にカウントするため、延べ人数となる
※自国の訪問、日帰り、乗り継ぎ、クルーズ船客、避難民は除く
※ビーチ・スキーリゾート地は基本的に除外
実際にランキング1位となった香港では、外国人訪問者全体の50%以上が中国本土からの訪問客でした。これは港珠澳大橋や広深港高速鉄道を敷き、中国から香港までのアクセスを強化した結果だと考えられています。
1~10位の都市で、2012~2017年までの年間平均増加率が最も高かったのがパリの13.7%です。パリは2015年11月に起きたテロの影響で客足が鈍ったものの、順調な経済成長に加え、政府や周辺地域と協力・連携した取り組みによって改善されたと見られています。
惜しくもトップ10入りは逃したものの2ケタ以上の伸び率を示し、今後も高い成長がのぞめる都市がいくつか見られます。中でも際立つのがインドとインドネシアです。ランキングトップ10の都市の伸び率は平均3.9%であるのに対し、インド・インドネシアの都市ではいずれも30~50%以上を示しています。
特にインドの首都デリーは40ランク上昇し、今回の調査で13位につけています。急増した理由としては、デリーを拠点にアーグラやマトゥラーなど近郊の観光地や、ハリドワールなど宗教色の強い土地の観光を目的とした人が増えたからと考えられています。その国の土地柄や歴史に触れ、未知の体験をしたいと思う旅人が増えたのかもしれません。
大阪のこの高い伸び率は、やはり中国人訪問者数の急増が影響したと見られています。今後は東京オリンピックや大阪万博の恩恵を受け、さらなる飛躍が期待できるでしょう。
では日本は観光国として、今後どう取り組むでしょうか。
香港は夜景やショッピングを楽しむ場所としてのイメージが定着しているものの、山林や緑地が国土の70%を占めるほど緑豊かな土地です。そのため、現在は自然を満喫できるハイキング・サイクリングコースを整備し、発信しています。外国人訪問者数が急増しているインドのデリーでは大気汚染が問題視されていましたが近年は改善され「環境に優しい旅先」を目指しているほか、インフラの整備と無料Wi-Fiの拡充などネット接続の強化に注力しています。
また、ロンドン、ニューヨークのような先進国の都市では、観光客の激増から宿泊施設が不足するなど、キャパシティの限界が問題となっています。民泊などのシェアエコノミーの展開が注目されるいっぽう、こうしたレンタル物件の急増によって国内の住宅供給が滞るという弊害にも悩まされているようです。
ギアーツ氏は、自然の魅力が観光都市としての成長に大きく寄与するという認識が高まっていること、そして各都市の観光局は将来的に旅行者の「適性な」誘致を目指すことが重要だと指摘しています。
ただやみくもに観光客を増やそうとしても、受けいれる体制が整っていなければ意味がありません。日本が観光国として成長し続けるためにも、こうした各国の問題や取り組みは参考にするべきでしょう。
アジアの都市が引き続き人気
旅行業界コンサルタントのヴォウター・ギアーツ氏がまとめた今回の調査レポートによると、2012年からアジアの都市の伸び率が順調に上昇しており、100都市中41都市がアジアの都市がランクインしていたとのことです。外国人訪問者数ランキングトップ10は以下の通り。香港、バンコク、シンガポール、マカオ、クアラルンプール、深センと、アジアの都市が半数以上を占めています。
1位 香港(香港、中国)
2位 バンコク(タイ)
3位 ロンドン(イギリス)
4位 シンガポール(シンガポール)
5位 マカオ(マカオ、中国)
6位 パリ(フランス)
7位 ドバイ(UAE)
8位 ニューヨーク(アメリカ)
9位 クアラルンプール(マレーシア)
10位 深セン(中国)最先端都市
※最低24時間以上12ヶ月未満の滞在の旅行客が対象。訪問目的は問わない
※各訪問者は個別にカウントするため、延べ人数となる
※自国の訪問、日帰り、乗り継ぎ、クルーズ船客、避難民は除く
※ビーチ・スキーリゾート地は基本的に除外
中国人訪問者の急増―上位にランクインした都市の特徴
2位のバンコクでは2つの主要空港の拡張化が急がれているほか、4位のシンガポール、24位のソウルの空港でも新ターミナルを増設に向けて準備が進められています。いずれも中国本土からの訪問客増加を受けてのことです。アジアの都市にとって、中国訪問者の誘致が最優先課題となっているとギアーツ氏は指摘しています。実際にランキング1位となった香港では、外国人訪問者全体の50%以上が中国本土からの訪問客でした。これは港珠澳大橋や広深港高速鉄道を敷き、中国から香港までのアクセスを強化した結果だと考えられています。
1~10位の都市で、2012~2017年までの年間平均増加率が最も高かったのがパリの13.7%です。パリは2015年11月に起きたテロの影響で客足が鈍ったものの、順調な経済成長に加え、政府や周辺地域と協力・連携した取り組みによって改善されたと見られています。
惜しくもトップ10入りは逃したものの2ケタ以上の伸び率を示し、今後も高い成長がのぞめる都市がいくつか見られます。中でも際立つのがインドとインドネシアです。ランキングトップ10の都市の伸び率は平均3.9%であるのに対し、インド・インドネシアの都市ではいずれも30~50%以上を示しています。
特にインドの首都デリーは40ランク上昇し、今回の調査で13位につけています。急増した理由としては、デリーを拠点にアーグラやマトゥラーなど近郊の観光地や、ハリドワールなど宗教色の強い土地の観光を目的とした人が増えたからと考えられています。その国の土地柄や歴史に触れ、未知の体験をしたいと思う旅人が増えたのかもしれません。
大阪がランクインした理由
インドと並び、ギアーツ氏が注目している国が日本です。近年のインバウンド事業が功を奏し、今回の調査では東京が14位、大阪が30位、京都67位、千葉90位となりました。特に大阪は2012年からランクが113もジャンプアップするという大躍進ぶりを見せ、ギアーツ氏も「注目すべき4都市」として大阪を挙げています。大阪のこの高い伸び率は、やはり中国人訪問者数の急増が影響したと見られています。今後は東京オリンピックや大阪万博の恩恵を受け、さらなる飛躍が期待できるでしょう。
観光国として成長を続けるために
日本に来る訪問客の多くは中国人を占めています。ただし先ごろ流行していた「爆買い」はなりを潜め、日本食や観光など「体験」を求めて来る人が増えていると考えられています。では日本は観光国として、今後どう取り組むでしょうか。
香港は夜景やショッピングを楽しむ場所としてのイメージが定着しているものの、山林や緑地が国土の70%を占めるほど緑豊かな土地です。そのため、現在は自然を満喫できるハイキング・サイクリングコースを整備し、発信しています。外国人訪問者数が急増しているインドのデリーでは大気汚染が問題視されていましたが近年は改善され「環境に優しい旅先」を目指しているほか、インフラの整備と無料Wi-Fiの拡充などネット接続の強化に注力しています。
また、ロンドン、ニューヨークのような先進国の都市では、観光客の激増から宿泊施設が不足するなど、キャパシティの限界が問題となっています。民泊などのシェアエコノミーの展開が注目されるいっぽう、こうしたレンタル物件の急増によって国内の住宅供給が滞るという弊害にも悩まされているようです。
ギアーツ氏は、自然の魅力が観光都市としての成長に大きく寄与するという認識が高まっていること、そして各都市の観光局は将来的に旅行者の「適性な」誘致を目指すことが重要だと指摘しています。
ただやみくもに観光客を増やそうとしても、受けいれる体制が整っていなければ意味がありません。日本が観光国として成長し続けるためにも、こうした各国の問題や取り組みは参考にするべきでしょう。
<参考サイト>
・外国人訪問者数 世界TOP100都市 2018版(ユーロモニターインターナショナル)
https://go.euromonitor.com/white-paper-travel-2018-top100cities_jp.html
・外国人訪問者数が多い世界都市ランキング2018、総合1位は「香港」、日本は東京・大阪・京都・千葉が100位圏内に(トラベルボイス)
https://www.travelvoice.jp/20181204-122221
・外国人訪問者数 世界TOP100都市 2018版(ユーロモニターインターナショナル)
https://go.euromonitor.com/white-paper-travel-2018-top100cities_jp.html
・外国人訪問者数が多い世界都市ランキング2018、総合1位は「香港」、日本は東京・大阪・京都・千葉が100位圏内に(トラベルボイス)
https://www.travelvoice.jp/20181204-122221
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた
55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと
戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか
5Gとローカル5G(1)5G推進の背景
第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
マスコミは本来、与野党機能を果たすべき
マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える
政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
BREXITのEU首脳会議での膠着
BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着
2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
健康経営とは何か?取り組み方とメリット
健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~
近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21