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風邪とは違う「肺炎」の見分け方
「肺炎」とは、“肺に起きる炎症全般”を指しますが、より具体的には、“細菌やウイルスなどによって起こる肺の中の感染症”を指します。
では同じような感染症でもあり、かつ症状が似ているため見分けがつきにくいといわれている風邪と、肺炎の違いはどこにあるのでしょうか。
医学博士で札幌厚生病院病理診断科医長の市原真氏は、「わりと短い期間で、人間が自力で勝てる感染症」である風邪に対し、肺炎を「人間が勝つのに苦労する、あるいはときには負けてしまうこともあるため、医療が慎重に手助けしたほうがいい呼吸器系の感染症」と定義しています。
つまり、風邪が“自然治癒の可能性が高い感染症”であることに対し、肺炎は“自然治癒の可能性が低い感染症”だといえます。
市川氏は初期段階で風邪と肺炎を見分けつつ適切に対処するポイントとして、以下の3ステップを紹介しています(なお、文章は筆者が適宜修正しています)。
・ステップ1「風邪の特徴を正しく理解する」
風邪と肺炎を比較して適切に対処するためにも、まず風邪の特徴を正しく理解しましょう。風邪の特徴とは、1)経験したことがある(つまり治した経験や自然治癒した経験がある)、2)複数の場所に同時に症状が出ている(病原体がすでに全身を回っている)、3)(2であるにも関わらず)症状が軽い、――です。
・ステップ2「肺炎の初期の特徴と風邪の特徴を比較し判断する」
次に、肺炎の初期の特徴と風邪の特徴を比較し判断しましょう。肺炎の初期の特徴は、1)症状は一箇所にしか出ていないのだが、2)(1の)症状が強く、3)経験したことがない〔もしくは過去に肺炎と診断され治療されたときの〕症状(どちらにしても自然治癒した経験がない)、――です。
・ステップ3「肺炎が悪化する特徴を見逃さない」
さらに肺炎と診断され治療となった際は、肺炎が悪化する特徴を見逃さないことも大切になってきます。肺炎が悪化する場合の特徴には、1)症状が一箇所からはじまっていたのに、寒気が出始めてガタガタ震えだしたり高熱が出たり、2)意識がもうろうとしている、――です。
風邪および肺炎の症状を的確に理解し、経過にそった適切な処置が求められます。
ではなぜ細菌感染を引き起こすかといえば、免疫機能や身体機能の低下によって、肺への細菌の侵入を防げなかったからだといえます。そして、身体機能の低下のうち肺炎を起こしやすい3要因は、1)のどの筋肉の衰え、2)唾液の質と量の低下、3)呼吸筋や腹筋の低下、――といわれています。
そこで、肺炎を予防するためにできることは、肺炎を起こしやすい3要因を予防すればよいと考えることができます。気になる方はこれから紹介する予防法を、無理のない範囲でぜひ試してみてほしいと思います。
予防1「のどの筋肉の衰えの予防」としては、以下の「嚥下おでこ体操」(男性向け)または「あご持ち上げ体操」(女性向け)を、食前や空き時間に5~10回行ってみてください。
「嚥下おでこ体操」(男性向け)1)おへそをのぞき込むように、おでこを下方向に向ける、2)手の付け根部分を使い、おでこを上に向かって押し戻す、3)(のど仏にグッと力が入って上がっていればOK)押し合った状態で5秒間キープする。
「あご持ち上げ体操」(女性向け)1)下を向いて力いっぱいあごを引く、2)下あごに両手の親指を当て、力いっぱい押し返す、3)(のど仏にグッと力が入って上がっていればOK)押し合った状態で5秒間キープする。
予防2「唾液の質と量の低下の予防」としては、以下の「耳の下もみ」を、食前や空き時間に10回ほど行ってみてください。
「耳の下もみ」1)目を閉じて呼吸を整え、4本の指(親指以外)を両耳の斜め下にある耳下腺(※)に当てる、2)(耳下腺の周辺を)手前から後ろに円を描くように軽くもむ(※耳下腺:左右の耳の脇、上の奥歯の辺りにある、最大の唾液腺)。
なお、唾液の質と量を良くするためには、まずは口腔環境を良くすることが肝要です。そして口腔環境を整えるためにもっとも大切で基本となる習慣は、歯磨きです。ぜひ、食後の正しい歯磨きを習慣化してみてください。
予防3「呼吸筋や腹筋の低下の予防」としては、以下「吸う筋肉のストレッチ」と「吐く筋肉のストレッチ」を、朝昼晩、一度に2~3セット行ってみてください。
「吸う筋肉のストレッチ」1)足は肩幅に広げ、膝は軽く曲げて立ち、両手を胸の前で軽く組む、2)鼻から息を吸いながら組んだ手を前へ伸ばしていき、背中は後ろへそらす(肩甲骨のあいだあたりの筋肉がぐっと伸びる感じを意識する)、3)思い切り吸いきったら、今度はゆっくり息を吐きながら手を胸に引き寄せていく。
「吐く筋肉のストレッチ」1)腰の上で両手を軽く組む(組めない人は指先を合わせるだけでもよい)、2)あごを上げ、ゆっくり息を吐きながら組んだ手を斜め後ろへ伸ばす(みぞおちから両脇腹にかけての筋肉が伸びる感じを意識する)、3)吐ききったら、鼻から息を吸いながら手を腰へ引きつける。
しかしながら肺炎は、予防することによって罹患リスクを下げることができ、さらには適切な治療で回復が見込める病気でもあります。正しく恐れ適切に対処する姿勢が、一人ひとりに求められています。
では同じような感染症でもあり、かつ症状が似ているため見分けがつきにくいといわれている風邪と、肺炎の違いはどこにあるのでしょうか。
医学博士で札幌厚生病院病理診断科医長の市原真氏は、「わりと短い期間で、人間が自力で勝てる感染症」である風邪に対し、肺炎を「人間が勝つのに苦労する、あるいはときには負けてしまうこともあるため、医療が慎重に手助けしたほうがいい呼吸器系の感染症」と定義しています。
つまり、風邪が“自然治癒の可能性が高い感染症”であることに対し、肺炎は“自然治癒の可能性が低い感染症”だといえます。
風邪と肺炎を見極めて対処する3ステップ
風邪が“自然治癒の可能性が高い感染症”であり、肺炎が“自然治癒の可能性が低い感染症”である以上、適切に見極めて対処をする必要が出てきます。しかし、冒頭でも述べたように、一見すると風邪と肺炎の症状は似ているため、適切な対処ポイントを見逃してしまう危険性も高くなります。市川氏は初期段階で風邪と肺炎を見分けつつ適切に対処するポイントとして、以下の3ステップを紹介しています(なお、文章は筆者が適宜修正しています)。
・ステップ1「風邪の特徴を正しく理解する」
風邪と肺炎を比較して適切に対処するためにも、まず風邪の特徴を正しく理解しましょう。風邪の特徴とは、1)経験したことがある(つまり治した経験や自然治癒した経験がある)、2)複数の場所に同時に症状が出ている(病原体がすでに全身を回っている)、3)(2であるにも関わらず)症状が軽い、――です。
・ステップ2「肺炎の初期の特徴と風邪の特徴を比較し判断する」
次に、肺炎の初期の特徴と風邪の特徴を比較し判断しましょう。肺炎の初期の特徴は、1)症状は一箇所にしか出ていないのだが、2)(1の)症状が強く、3)経験したことがない〔もしくは過去に肺炎と診断され治療されたときの〕症状(どちらにしても自然治癒した経験がない)、――です。
・ステップ3「肺炎が悪化する特徴を見逃さない」
さらに肺炎と診断され治療となった際は、肺炎が悪化する特徴を見逃さないことも大切になってきます。肺炎が悪化する場合の特徴には、1)症状が一箇所からはじまっていたのに、寒気が出始めてガタガタ震えだしたり高熱が出たり、2)意識がもうろうとしている、――です。
風邪および肺炎の症状を的確に理解し、経過にそった適切な処置が求められます。
肺炎3要因の予防法
ところで、どうして肺炎は起こるのでしょうか。肺炎が起きる原因の多くは、細菌感染によって引き起こされるといわれています。ではなぜ細菌感染を引き起こすかといえば、免疫機能や身体機能の低下によって、肺への細菌の侵入を防げなかったからだといえます。そして、身体機能の低下のうち肺炎を起こしやすい3要因は、1)のどの筋肉の衰え、2)唾液の質と量の低下、3)呼吸筋や腹筋の低下、――といわれています。
そこで、肺炎を予防するためにできることは、肺炎を起こしやすい3要因を予防すればよいと考えることができます。気になる方はこれから紹介する予防法を、無理のない範囲でぜひ試してみてほしいと思います。
予防1「のどの筋肉の衰えの予防」としては、以下の「嚥下おでこ体操」(男性向け)または「あご持ち上げ体操」(女性向け)を、食前や空き時間に5~10回行ってみてください。
「嚥下おでこ体操」(男性向け)1)おへそをのぞき込むように、おでこを下方向に向ける、2)手の付け根部分を使い、おでこを上に向かって押し戻す、3)(のど仏にグッと力が入って上がっていればOK)押し合った状態で5秒間キープする。
「あご持ち上げ体操」(女性向け)1)下を向いて力いっぱいあごを引く、2)下あごに両手の親指を当て、力いっぱい押し返す、3)(のど仏にグッと力が入って上がっていればOK)押し合った状態で5秒間キープする。
予防2「唾液の質と量の低下の予防」としては、以下の「耳の下もみ」を、食前や空き時間に10回ほど行ってみてください。
「耳の下もみ」1)目を閉じて呼吸を整え、4本の指(親指以外)を両耳の斜め下にある耳下腺(※)に当てる、2)(耳下腺の周辺を)手前から後ろに円を描くように軽くもむ(※耳下腺:左右の耳の脇、上の奥歯の辺りにある、最大の唾液腺)。
なお、唾液の質と量を良くするためには、まずは口腔環境を良くすることが肝要です。そして口腔環境を整えるためにもっとも大切で基本となる習慣は、歯磨きです。ぜひ、食後の正しい歯磨きを習慣化してみてください。
予防3「呼吸筋や腹筋の低下の予防」としては、以下「吸う筋肉のストレッチ」と「吐く筋肉のストレッチ」を、朝昼晩、一度に2~3セット行ってみてください。
「吸う筋肉のストレッチ」1)足は肩幅に広げ、膝は軽く曲げて立ち、両手を胸の前で軽く組む、2)鼻から息を吸いながら組んだ手を前へ伸ばしていき、背中は後ろへそらす(肩甲骨のあいだあたりの筋肉がぐっと伸びる感じを意識する)、3)思い切り吸いきったら、今度はゆっくり息を吐きながら手を胸に引き寄せていく。
「吐く筋肉のストレッチ」1)腰の上で両手を軽く組む(組めない人は指先を合わせるだけでもよい)、2)あごを上げ、ゆっくり息を吐きながら組んだ手を斜め後ろへ伸ばす(みぞおちから両脇腹にかけての筋肉が伸びる感じを意識する)、3)吐ききったら、鼻から息を吸いながら手を腰へ引きつける。
肺炎は身近な怖い病気。だが予防も治療も可
日本では1975年頃を境に肺炎の死亡率が上昇しており、さらに2011年には脳血管疾患を抑えて死亡原因の3位に浮上しています(ちなみに、1位は悪性新生物、2位は心疾患)。肺炎は多くの人にとって、他人事ではない身近な病気となっているといえます。しかしながら肺炎は、予防することによって罹患リスクを下げることができ、さらには適切な治療で回復が見込める病気でもあります。正しく恐れ適切に対処する姿勢が、一人ひとりに求められています。
<参考サイト・参考文献>
・軽症の間に「かぜ」と「肺炎」を見分ける3つのポイント「強いせきだけが出る」は要注意
https://president.jp/articles/-/33965
・「肺炎を起こす3つの要因 -冬は夏の1.5倍のリスクが。「誤嚥性肺炎」にも要注意!-」『健康』(2018年2月号、通常主婦の友社)
・肺ストレッチで体が変わる!呼吸コントロールSP - NHK
https://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20180411/index.html
・『どこからが病気なの?』(市原真著、ちくまプリマー新書)
・軽症の間に「かぜ」と「肺炎」を見分ける3つのポイント「強いせきだけが出る」は要注意
https://president.jp/articles/-/33965
・「肺炎を起こす3つの要因 -冬は夏の1.5倍のリスクが。「誤嚥性肺炎」にも要注意!-」『健康』(2018年2月号、通常主婦の友社)
・肺ストレッチで体が変わる!呼吸コントロールSP - NHK
https://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20180411/index.html
・『どこからが病気なの?』(市原真著、ちくまプリマー新書)
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