社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
世界最古の王室ランキング
世界最古の王朝、実は…
現在の上皇陛下が現在の天皇陛下に譲位をして、元号が平成から令和になったことはまだ記憶に新しいですよね。天皇が存命中に天皇の位を皇位継承者に譲ることを譲位といい、現在の上皇陛下の譲位は、江戸時代末期の光格天皇以来202年ぶりという歴史的な出来事でした。譲位を受けて即位した現在の天皇陛下は、126代目になります。日本の天皇は天照大神(あまてらすおおみかみ、日本神話の主神格で太陽の女神)の子孫と伝わっており、初代天皇が誰かは諸説ありますが、紀元前660年に即位した神武天皇とすることが一般的です。神武天皇が即位した年は日本の皇室独自の暦で皇紀元年とされており、西暦2022年は皇紀2682年になります。
ただし、2世紀頃までの天皇は神話レベルの存在のため、実在したかは不明瞭です。また、奈良時代の歴史書『日本書紀』などは現在の天皇陛下に連なる血統を26代目の継体天皇としているため、現状では「少なくとも継体天皇の時代である6世紀以降は同じ血統で続いている」という見方が一般的になっています。
確認できる限りでも1500年以上は続いているとされる日本の皇室は、実は世界でも最古の王朝とされており、ギネス記録にも認定されています。
長い歴史を持つ王朝ランキング
もちろん海外にも長い歴史を持つ王朝はたくさんあります。ここからは、歴史が長い順に2位以降のランキングをご紹介しましょう。2位:デンマーク・10世紀に成立したとされるヨーロッパ最古の王朝。日本の皇室とも長く交友関係があります。現君主マルグレーテ2世はデンマーク初の女王で、前国王に男子が生まれなかったため法改正を経て即位しました。華やかなドレスを着こなすおしゃれな女王としても人気です。
3位:イギリス・11世紀に原型が成立。70年間の長きにわたって在位したエリザベス2世が今年9月8日に96歳で崩御し、王太子のチャールズ3世が国王に即位しました。エリザベス2世の崩御によって、現在はマルグレーテ2世が世界で唯一の女性君主となっています。
4位:スペイン・16世紀前半に成立。20世紀の第二次世界大戦期、フランシスコ・フランコ総統の独裁などにより44年間断絶しましたが、1975年に王政復古を果たしました。現君主はフェリペ6世。女性の王位継承が法で認められており、王位継承権第1位はレオノール王女となっています。
5位:スウェーデン・王朝の交代が繰り返されており、現王朝は18世紀後半に成立。初代国王には民間人出身のベルナドッテ将軍が、カール14世ヨハンと名を改めて即位しました。現君主はカール16世グスタフ。スウェーデンも女性の王位継承が可能で、継承権第1位はヴィクトリア王女です。
トップ10の6位以下は6位がタイ(18世紀後半)、7位がバーレーン(18世紀後半、タイの翌年)、8位がオランダ(19世紀前半)、9位がベルギー(19世紀半ば)、10位がトンガ(19世紀半ば)となっています。日本の皇室が突出して古い歴史を持つことがわかりますね。
君主の名称にも違いが
日本国内で使われている「天皇」は、海外では「皇帝」を意味する「エンペラー(Emperor)」と訳されます。現在、エンペラーと呼ばれる君主は日本の天皇のみで、他の国の君主は「王」「女王」を意味する「キング(King)」「クイーン(Queen)」と呼ばれます。エンペラーとキング・クイーンの違いはなんなのでしょうか。エンペラー:複数の国や地域、民族を支配下に置く君主。必ずしも血統を重視するわけではなく、実力で支配者の地位を手に入れることもある。
キング・クイーン:単一の領土や民族を支配下に置く君主。ひとつの血統の長という意味合いが強く、血統による正統性を重視する。
以上の点を見ると、日本の天皇はエンペラーよりもキング・クイーンに近い感じがしますよね。しかし古代において日本が中国と外交するときに、「王」と名乗るわけにはいかない事情がありました。当時の中国には皇帝がおり、皇帝にとって王は広い領地の各所を統治させる部下という位置づけでした。このため、王と名乗ってしまうと格下に見られるおそれがあったのです。そこで、「皇帝と同格の天皇」と名乗ったというわけです。
実は天皇という称号は明治時代に入ってからきちんと決められたもので、それまで天皇は一般的に「帝(みかど)」と呼ばれており、この文字も皇帝を意識したものと考えられています。安土桃山時代に海外の宣教師や貿易商が多く日本に出入りするようになると、「帝=皇帝」と認識されて海外諸国に「Emperor」と報告されたため、日本の天皇はエンペラーと呼ぶことが儀礼になりました。幕末に黒船で来航したペリーも、日本の天皇をエンペラーと呼んでいます。
天皇の歴史を紐解くと、学校で習う歴史とはまた違った視点での発見がありますよね。海外の王朝にもそれぞれの興味深い物語があるので、ぜひ調べてみてください。
<参考サイト>
・Latte 歴史が長い世界の王室トップ10!世界最古の王家は「日本の皇室」である
https://latte.la/column/89206006
・社会実情データ図録 世界の王室:歴史の長さランキング
https://honkawa2.sakura.ne.jp/9570
・VAMOS スペイン王室について① ~スペインの華麗なるロイヤルファミリー~
https://vamos-online.co.jp/blog/rey_de_espana1/
・東洋経済オンライン 欧米人が天皇を"キング"とは呼ばない深い理由
https://toyokeizai.net/articles/-/265649?page=2
・Latte 歴史が長い世界の王室トップ10!世界最古の王家は「日本の皇室」である
https://latte.la/column/89206006
・社会実情データ図録 世界の王室:歴史の長さランキング
https://honkawa2.sakura.ne.jp/9570
・VAMOS スペイン王室について① ~スペインの華麗なるロイヤルファミリー~
https://vamos-online.co.jp/blog/rey_de_espana1/
・東洋経済オンライン 欧米人が天皇を"キング"とは呼ばない深い理由
https://toyokeizai.net/articles/-/265649?page=2
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
トランプ関税はアダム・スミス以前の重商主義より原始的
第2次トランプ政権の危険性と本質(2)トランプ関税のおかしな発想
「トランプ関税」といわれる関税政策を積極的に行う第二次トランプ政権だが、この政策によるショックから株価が乱高下している。この政策は二国間の貿易収支を問題視し、それを「損得」で判断してのものだが、そもそもその考え...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/17
大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本
デモクラシーの基盤とは何か(2)明治日本の惑溺と多元性
アメリカは民主主義の土壌が育まれていたが、日本はどうだったのだろうか。幕末の藩士たちはアメリカの建国の父たちに憧憬を抱いていた。そして、幕末から明治初期には雨後の筍のように、様々な政治結社も登場した。明治日本は...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/16
【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?
編集部ラジオ2025(8)会員アンケート企画:トランプ関税
会員の皆さまからお寄せいただいたご意見を元に考え、テンミニッツTVの講義をつないでいく「会員アンケート企画」。今回は、「トランプ関税をどう考える?」というテーマでご意見をいただきました。
第2次トランプ...
第2次トランプ...
収録日:2025/05/07
追加日:2025/05/15
相互関税の影響は?…トランプが築く現代版の万里の長城
世界を混乱させるトランプ関税攻勢の狙い(1)「相互関税」とは何か?
トランプ大統領は、2025年4月2日(アメリカ時間)に貿易相手国に「相互関税」を課すと発表し、「解放の日」だと唱えた。しかし、「相互関税」の考え方は、まったくよくわからないのが実状だ。はたして、トランプ大統領がめざす...
収録日:2025/04/04
追加日:2025/04/10
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24