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DATE/ 2023.02.26

銭湯に描いてはいけない3つの「タブー絵」

 銭湯で見たことのある絵といえば、多くの人は富士山を思い浮かべるのではないでしょうか。

 では反対に、銭湯で見たことのない絵、つまり銭湯に描かれていない絵といえば、どんなモチーフを思い浮かべるでしょうか。見たことのないものに思いをはせることは難しいですが、実は、銭湯に描いてはいけない3つの「タブー絵」があると言われています。

3つの「タブー絵」

 銭湯に描いてはいけない3つの「タブー絵」とは、ずばり、「猿」「夕日」「紅葉」と言われています。

 ではなぜ、「猿」「夕日」「紅葉」は、銭湯に描いてはいけない絵とされているのでしょうか。3つの「タブー絵」それぞれに、以下のような理由があるとされています。

 「猿」:読みが「去る」と同じであり、「客が去る」ことを連想させるため。

 「夕日」:日が「沈む」「落ちる」に通じることから、「家業が沈む」「景気が落ちる」ことを連想させるため。

 「紅葉」:葉が「赤くなる」「散る」「落ちる」に通じることから、「赤字」「客が散り散りになる」「景気が悪くなる」ことを連想させるため。

銭湯で「赤富士」はめずらしい!?

 さて、冒頭で銭湯に描かれる代表的な絵として、富士山を挙げました。ではなぜ、多くの銭湯で壁画に富士山が描かれるようになったかというと、富士山は信仰の対象であり日本の象徴でもありかつ、縁起物としてたくさんの人に受け入れられていたため、というのが通説となっているようです。

 つまり、富士山が縁起物として多くの人に愛され親しまれていたことから銭湯の代表的壁画となった背景と同様に、猿・夕日・紅葉は「タブー絵」として、銭湯で描くことが避けられるようになったようです。

 ただし、縁起物で人気の富士山であっても、銭湯ではめずらしい富士山も存在します。めずらしい富士山とは、ずばり、「赤富士」です。

 銭湯で「赤富士」が描かれにくい背景には、(1)「タブー絵」の理由の説明でも述べたように、赤は赤字を連想させること、(2)銭湯は熱いため、基本的に赤系の色が敬遠されがちなため――といわれています。

<参考文献・参考サイト>
・『懐かしくて新しい「銭湯学」』(町田忍監修、メイツユニバーサルコンテンツ)
・江戸の粋!「銭湯富士」100年の歴史│日本経済新聞
https://style.nikkei.com/article/DGXNASFB3100C_R30C13A7000000
・銭湯の壁画で描いてはいけない3つの絵とは?謎過ぎる理由に衝撃が走る事態に│秒刊SUNDAY
https://yukawanet.com/archives/sentou20211015.html
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