新しい東方問題~EUの課題
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ユーロ圏の中でドイツの存在感が増大
新しい東方問題~EUの課題(2)イランの強みと「ドイツ帝国」の野望
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
歴史学者・山内昌之氏は、昨今のギリシャ危機やイランのウラン濃縮停止合意問題などにおいて、注目すべきはイギリスでもフランスでもアメリカでもない、ドイツの存在感だと語る。「ドイツ帝国」と称されるその強さの秘密は? ドイツに牛耳られるギリシャの将来とは? 山内氏がギリシャ、イラン問題を例にとり、EUの勢力地図を読み説く。シリーズ「新しい東方問題」第2回。
時間:8分33秒
収録日:2015年7月29日
追加日:2015年8月27日
カテゴリー:
≪全文≫

●イランの核開発をめぐる「うそ」


 皆さん、こんにちは。

 前回は、いわばギリシャのうそと借金ということについて、プルタルコスをはじめとする古代ギリシャの知恵者たち、ヘロドトスといった歴史家たちの知恵などを紹介しつつ、語ったわけです。他方、その時に触れた今回のイランの核開発合意、核の濃縮停止合意につきまして、今日は少し語ってみたいと思います。

 このイランのある意味でうそというのは中東の安全保障が絡むだけに、北朝鮮の核開発に関わるうその数々に振り回されてきた日本や日本人にとっても、見逃せない大事な現象です。また、イランの核開発には北朝鮮の技術者が絡んだというのも、周知の事実であります。

 イランは、2002年に極秘につくられていたウラン濃縮施設の存在が暴露されて以来、濃縮停止に関するイギリス、フランス、ドイツとの合意を、最終的に反故にしました。その他、2006年にはさらにウラン濃縮を再開するという形で、公約の違反も犯しました。国連安保理は、2006年から10年まで4回にわたってイラン制裁決議を採択しましたが、イランはその間も、申告していない別の濃縮施設で濃縮度20パーセントというすこぶる高い濃度のウラン製造を開始するなど、言ってみますと、うそを重ねることによって国際的な信用を失いました。


●核濃縮停止合意を得たイランの二つの強み


 2012年にアメリカが金融制裁を発動し、かつヨーロッパ連合(EU)がイラン製の原油の禁輸措置をとったのは、自然の成り行きと言えるかもしれません。それでも、今回アメリカをはじめとした国連の安保理常任理事国、P5プラス1、この1はドイツでありますが、あるいはEU3プラス3と呼ばれる、EUの英仏独プラスアメリカ、中国、ロシアといった6カ国が、イランに対して将来の核開発を許す含みを残す最終合意に今回たどりついたのは、ギリシャにはない優位性がイランにはあったからであります。それは、ギリシャがうそと借金の二重苦で自らを苦しめ、自縄自縛になったのと違い、イランには目立った借金、多額の債務を外国に負っていなかったということがあります。また、イラン自身が持っている未開拓の大きな市場、マーケットとしての価値というものが、EUやアメリカの企業にとって大変魅力的に映っているからに他なりません。


●イラン市場に対するドイツ資本主義の欲望

...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(30)AI時代の企業と道徳
【10minで考える】CPO(最高哲学責任者)…AI時代に必須の哲学とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
新撰組と幕末日本の「真実」(6)新撰組結成と清河八郎、芹沢鴨
清河八郎と芹沢鴨…乱闘事件や大和屋焼討事件の真相とは?
堀口茉純
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
中国春秋戦国時代と始皇帝(7)始皇帝を支えた家臣たち
始皇帝を支えた家臣たち…史実からいかに実像を描いていくか
鶴間和幸
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保