パリ同時多発テロ
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
パリ同時多発テロは第1次ポストモダン世界大戦の始まり
パリ同時多発テロ(1)新しい世界戦争の始まり
政治と経済
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
11月13日、突然パリを襲った同時多発テロは、人類の歴史に忘れられない1ページを加えた。それは、いままでの概念とは異なる無秩序をもたらし、新しい世界戦争の予兆とも見て取れる。歴史学者の山内昌之氏が今回のテロの本質に迫り、ポストモダン的世界大戦といわれるゆえんを緊急解説。(全3話中第1話目)
時間:11分42秒
収録日:2015年11月18日
追加日:2015年11月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●第1次ポストモダン世界大戦の始まり


 皆さん、こんにちは。

 今日は、誠に残念な話題になります。パリにおいて11月13日夜、大虐殺とも言うべき誠におぞましい事件が起きました。おそらく歴史を後世から振り返ったとき、この11月13日夜のパリの大虐殺ともいうべき事件は、かつてのさまざまな歴史の転換点がそうであったように、世界に新しい時代、新しい秩序、もしくは無秩序がもたらされた日として思い起こされるかもしれません。

 ローマ教皇のフランシスコ法王はこのテロ攻撃を「disorganized」、まとまりを欠く第3次世界大戦の一部であると表現いたしました。まとまりを欠く、あるいは、未組織の、組織化が必ずしもされていない世界大戦という意味でありますが、これは、私が最近作家の佐藤優さんとの共著、『第3次世界大戦の罠』(徳間書店)でいくつか触れた点とも共通しています。
 
 しかし、もっと正確に申しますと、今回のテロというよりはほとんど組織された、そして訓練された部隊、コマンドーが、パリ市内において同時に人々を虐殺するという事件が起きたわけですが、これは一種のポストモダン的な歴史現象ではないかと思います。

あえて言えば、非常に大胆な定義を仮説的に提示しておきますと、第1次ポストモダン世界大戦、あるいは、第1次ポストモダン世界戦争とも呼ぶべきものが始まったということではないかと思います。つまり、これまでの私たちが知っていた世界大戦、すなわちスーパーパワー、大国、強国、こうした国々がブロックを持って陣営に分かれ、国対国という形で争う、すこぶる古典的にして近代的な戦争とは違う歴史現象が起きたということです。

 

●日常生活の破壊にみる今回のテロの本質


 すなわち、21世紀に入りまして、モダニズム、近代主義、西欧の振りかざしてきた近代主義的な概念や意味が成立する条件、あるいは、人々に完全に受け入れられる条件をもはや失いつつある、そうした時代、あるいはそのように思われた時代を仮にポストモダンと呼ぶことにいたしましょう。そうしたときに、これまでの世界戦争、世界大戦と違うのは、このまさにポストモダン的なゆえんです。すなわち、国家対国家というものではなく、さらにムスリム対非ムスリムというわけでもありません。あるいは、テロリスト対テロリスト、テロリスト対反テロリスト、すなわち、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
「新しい資本主義」の本質と課題(1)新自由主義と『21世紀の資本』
新自由主義からの時代背景から「新しい資本主義」を問う
柳川範之
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫
政治学講座~選挙をどう見るべきか(1)選挙の意味
選挙と政治権力…「選挙に勝つ」とはどういうことか?
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将
「アカデメイア」から考える学びの意義(2)プラトンの学園アカデメイア
プラトン「アカデメイア」の本質は自由な議論と哲学的探究
納富信留