パリ同時多発テロ
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
敵の敵は味方―アサドと米欧が組むことはあり得るか?
パリ同時多発テロ(3)欧米諸国が直面する問題
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
世界に大きな衝撃を与えたパリ同時多発テロ。オランド大統領は、フランスが過激派組織「イスラム国(IS)」との「戦争状態にある」として、全土に非常事態宣言を発し、シリア空爆の強化に踏み切った。誰もが注意深く考えたいのは、この事件が世界大戦につながる可能性があるのか否かであろう。歴史学者・山内昌之氏はどう見ているのか。中東史研究第一人者としての視点に注目したい。(全3話中最終話)。
時間:11分45秒
収録日:2015年11月18日
追加日:2015年11月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●パリの悲劇に対抗するパラダイム転換は起こり得るか


 皆さん、こんにちは。

 私は、この間起こったパリの大虐殺という今回の悲劇について、グローバルに考えれば「新しいポストモダンの世界戦争」ともいうべきものが、国家対国家という形ではなく、むしろ非国家主体、あるいは文化的な装いを持ったような集団の中で起こっていると述べました。テロリストたちは、イスラムの過激派を名乗り、自らの行為を正当化していますが、まじめなイスラム教徒たちから見ると、彼らにイスラムを名乗ってほしくないというのが本心ではないかと思います。

 このような事態に直面した今は、新しいものの考え方が必要になるはずです。しかし、危険極まりないISに対して、自分たちを新しい知的なパラダイムで武装し、世界を率いて指導しようという政治家やトップリーダーたちが少ないというのも現実です。

 現在の欧米諸国は、むしろ自国の安全や自国民の所得や福祉についてのみケアする国々がほとんどになりつつあります。このことも、今回のような事件の背景にあるのではないでしょうか。西欧諸国の市民たち(タックスペイヤー、納税者)の間では、自分の支払った税金が他国や他国民のために使われることに難色を示し、難民や移民に金を費やすのを望まないという風潮が出てきているからです。


●政治哲学や世界観を欠いた米欧のトップリーダーたち


 こうした傾向ないし潮流に最もフィットしているのが、バラク・オバマ大統領やアンゲラ・メルケル首相のような政治家たちなのでしょう。しかしながら、超大国、あるいは責任ある大国のリーダーとして彼らを評価するならば、例えばオバマ大統領の場合、グローバルに記憶されるほどのまじめな遺産や業績をつくったとは言い難いのではないかと思います。なぜかノーベル平和賞が、まったく根拠不明であまりにも早過ぎるタイミングにおいて与えられたことも、記憶には新しいところです。

 オバマ大統領のような政治家は、経済・技術・テクノロジーなどを結び付けたり、それらに依拠したリーダーとしては最適の人物なのでしょう。しかし、かつてのウッドロウ・ウィルソンの国際平和主義やフランクリン・ルーズベルトのニューディール政策といった、世界史を変えていくような哲学的政治には、程遠いところがあります。

 メルケル首相にしても、かつてのコンラート・アデナウアー...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(19)橋爪大三郎先生のリベラルアーツ論
【10min解説】橋爪大三郎先生:AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(7)自分の人生のために
AI時代こそAIでなく「生きた学び」で自分の人生を膨らませる
橋爪大三郎
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線(1)脳科学と「ミクロのマクロの隔たり」
脳が生きている、死んでいるとは?最新研究で迫る脳の秘密
毛内拡
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
「進化」への誤解…本当は何か?(3)進化学説史と近代の生物実験
ラマルクの進化論…使えば器官が発達し、それが子に伝わる
長谷川眞理子