パリ同時多発テロ
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テロ行為は「国家間」の枠を超えたポストモダン世界戦争
パリ同時多発テロ(2)これはISだけの問題ではない
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
パリ同時多発テロをはじめ世界中で見られる新しい争いの形を、歴史学者・山内昌之氏は「ポストモダン世界大戦」と位置付けた。では、何がこうした「ポストモダン的」戦いを引き起こしているのか? そこには対ISだけでは語れない、人類未曾有の現象が関係している。(全3話中第2話目)
時間:11分49秒
収録日:2015年11月18日
追加日:2015年11月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●「国家間」の枠を超えたポストモダン世界戦争


 皆さん、こんにちは。

 前回、私は今回のパリで起きたおぞましいテロ、パリの大虐殺、あるいはシリアとイラクにまたがったISと他の勢力や国との戦い、さらにシナイ半島を飛び立ったロシアの旅客機における爆破事件、こうしたことの総体として、いまやこの現代世界においてはこれまで私たちが知っていた戦争とは違う形の衝突、そして、しかもグローバルな形でいえば、世界大戦とは違う新しいタイプのポストモダン的な世界戦争、第1次ポストモダン世界戦争ともいうべき現象が生じているということについて触れました。

 それでは、何がこの対決、衝突をポストモダンにしているのかということについて考えてみたいと思います。答えはすこぶる単純です。それは、この新しいタイプのポストモダンの世界戦争というものが国家間だけで行われるものではないということです。それはIS自体がそうであるように、領域を支配しているような準国家的な主体がありますし、あるいはISに連なっているような各地の団体の中には、表面的にはある独自のアイデンティティを持ったような文化集団、ある種の独自性を持ったような自立的な社会集団の装いを持っていますが、本質的にはテロリスト団体ということになるのです。

 こうした集団が一方にあり、他方において国家が存在するという、こういうような形こそが新しい、私たちが歴史上ほとんど経験しない未曽有の戦争のタイプになっているわけです。つまり、これは、国家間の典型的な戦争ではないのです。


●国家の力を無視した文明的衝突が引き起こす争い


 この新しいポストモダンの世界戦争というべきものは、現象的、表面的にいえばISによって引き起こされたかのように見えますが、問題は、ISの問題だけに特化して考えるのはおかしいということです。ISが引き金となって現在の中東を混乱に陥れ、パリにおける無差別の大虐殺を行うことになったのは、現代世界においてしばしばfailed state(破綻国家)というものが生じているということと無縁ではありません。ゆるぎなく存在するかに思われた国家が、さまざまな犯罪団体やテロリストによって寄生され、そして、その力によって腐食され、中から国家の内部、あるいは骨組みが腐朽し腐食していく。その結果、そうした国家が解体していくという現象、これを、私...

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