トルコ軍ロシア機撃墜問題
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ロシアを中東の主要プレイヤーに仕立てたプーチンの手腕
トルコ軍ロシア機撃墜問題(4)ロシア強硬姿勢の理由
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
歴史学者・山内昌之氏によるトルコ軍ロシア機撃墜事件に関するシリーズ講義最終話。ロシアが強硬姿勢を取る理由について解説し、最後に今回の問題から日本が教訓とすべきことを考える。中国との領海問題という難問を抱える日本にとって、この撃墜事件は決して遠い中東での出来事で終わらせてはならない。(全4話中最終話)
時間:15分12秒
収録日:2015年12月2日
追加日:2015年12月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●強硬姿勢を緩めないロシア

 
 皆さん、こんにちは。今回のロシア軍機の撃墜事件について、プーチン大統領は強硬な態度を緩めようとしていません。パリで開かれた気候変動に関わる会議においても、エルドアン大統領の会見、あるいは会談の申し込みを拒否し、強硬な姿勢を崩していません。わが国の安倍晋三首相はエルドアン大統領に会った際に、何かできることがあれば手伝うと、調停、仲介の労について意思を表示しましたが、いまのところプーチン大統領はそれに耳を貸す様子はありません。

 それどころか、プーチン大統領はこれを機会に、従来ロシアの諜報機関が握っていたトルコとIS(イスラム国)との関係についてのさまざまな情報を虚実取り混ぜながら流しています。最も重要なのは、トルコがISの石油を買っており、その利権を守るためにそのルートを妨害していたロシアの空軍機、飛行機を落としたとロシアが主張するようになったことです。


●火種となったISの石油利権問題


 エルドアン大統領の娘婿はエネルギー大臣に任命されたベラトアルバイラクという人物です。11月28日にロシアの大統領報道官のドミトリイ・ペスコフ氏は、その4日前、24日にエネルギー大臣に任命されたばかりのベラトアルバイラク氏こそが、IS(イスラム国)の石油利権に関わっているという一定の情報があると、意図的に公言しています。プーチン大統領は、26日にフランソワ・オランド大統領と会談した後、記者会見の席上で、シリアで略奪された石油の車列が、昼夜を問わずシリアからトルコに入っている様について、まるで動く石油パイプラインだと形容したことがあります。トルコ政府が知らないというのは信じがたい、というものでした。

 しかし、アメリカ政府はこれに反発し、ISとアサド政権こそが裏でつながっていて、石油を売買していると考えます。アメリカの財務省は、11月25日にシリアとロシアの二重国籍を持つシリア人実業家を資産凍結などの制裁対象に指定し、エルドアン大統領もISから石油を買っているのはアサド政権だとロシアを揺さぶり、批判しています。

互いに大変な中傷、非難の合戦が応酬されているわけです。シリアのワリード・ムアッレム外務大臣は、27日にモスクワにおいて、ロシア軍機をトルコが撃墜した理由は、エルドアン大統領の娘婿の石油権益、石油利権を守るためだと、公然と話...

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