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エンターテイナーのトランプが最後まで残ってしまうのか

2016アメリカ大統領選の行方―予備選挙とトランプ現象

曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
今回のアメリカ大統領選の行方は非常に読みにくくなっていると、政治学者で慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授・曽根泰教氏は語る。最大の要因は、ドナルド・トランプ氏の存在だ。大統領選の制度自体が、トランプ氏を最後までサバイバルさせてしまうかもしれない。一体、アメリカの大統領選挙制度、そしてアメリカの政治に今、何が起こっているのか、曽根氏が解説する。
時間:10:21
収録日:2016/01/25
追加日:2016/02/22
カテゴリー:
≪全文≫

●読めない大統領選の要因1―進む分極化


 アメリカ大統領選挙はアイオワ州コーカス地区、それからニューハンプシャー州のプライマリー(予備選挙)を前にして、依然読めない状況になっています。序盤のアメリカ大統領選挙はどうなるのだろうかということを、少しお話ししてみたいと思います。

 (その前に)オバマ政権の評価ですけれども、比較的経済指標はいいのですが、国民の認知としては非常によくない、つまり悪いのです。ですから、指標がよければ選挙で勝てるだろう、強いだろうというのは正しいわけではなく、政治の世界では、経済の指標があってもそれが認識されていて支持率が高いかどうか、つまり、(国民が)経済的に満足しているかどうかというのが、結構重要な要素になります。

 もう一つ、民主党でいえば、ヒラリー・クリントンの人気が今一つないという点が挙げられます。クリントンの話は、以前にこの10MTVシリーズでお話をしたことがありますから(「ヒラリー・クリントン氏出馬表明~2016米大統領選」2015年4月配信)、今日はお話ししませんが、そのときは、アメリカ政治のいくつかの要素について申し上げました。今回はそこにもう一つ要素が加わって読みにくくなっているということを申し上げたいと思います。

 アメリカ政治はかつて、共和党右派であっても寸止めができていたのです。しかし、アメリカ政治で寸止めが効かないガチンコをしてしまうと、ガバメント・シャットダウン(政府閉鎖)の問題などが出てくる。テッド・クルーズなどは、それを仕掛けていたところがあるわけですけれども、アメリカはこういう対立状況、分極化が進んできたということです。


●読めない大統領選の要因2―トランプ現象


 もう一つあります。大統領選挙になると、イデオロギー的に、かつての民主党は左派が強く、予備選挙では左派の候補が勝つのだけれども、本選挙になると中道的な候補に敗れると言われていました。一方、最近でいえば、共和党は右派的な候補が予備選挙で勝つのだけれども、本選挙では勝てないと言われています。ここまで申し上げました。

 しかし、今回起きている「トランプ現象」というものは、一体何なのか。これは、同じ分極化でも、寸止めができない右派とか、あるいは、大統領選挙における予備選挙と本選挙の違いとか、そういうレベルではないのです。PC(ポリティ...
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