●世界の潮流は「自然エネルギー100%」
皆さん、こんにちは。環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也と申します。世界史的に見ても非常にグローバルで大きな変化が今、世界全体で起こっていることを、最初にお話をさせていただきます。そして、後半は、それをとりわけ地域や個人など無数の人たちが世界中で起こしているのですが、それは20年ほど前に始まったインターネットによる変化と同じような変化で、そうした非常に大きな構造変化が今、エネルギーの世界でも起こっているという話をさせていただきたいと思います。私はそれを「エネルギーデモクラシー」と呼んでいます。
まず世界的な変化ですが、この10年間である意味、世界のエネルギーのパラダイムががらりと変わりました。最初のグラフを見ていただければ分かりますように、10年前、あるいは数年前の例えば2009年にコペンハーゲンで行われた地球温暖化サミットでも、自然エネルギーはまだ取るに足らないものと思われていました。しかし、今回(2015年12月12日)パリで行われたCOP21が合意となりました。その成功に至った背景にあるのは、世界の何百社もの企業や自治体、あるいはデンマークやスコットランドといった国の単位で、自然エネルギー100パーセントを目指そう、あるいはそれができるんだという声でした。
●あらゆる面で中心に躍り出た自然エネルギー
例えば、10年ほど前、世界中の風力発電は(累積で)わずか原発50基分、5000万キロワットでした。けれども、2014年の1年間だけで5000万キロワットとなり、累積では3億7000万キロワットでした。これは、次のグラフを見ていただければ分かるように、実際に原発の設備容量に追い付いたということです。まだ正式な統計は出ておりませんが、2015年の末にはこれをはるかに超え4億数千万キロワットになるでしょう。ということで、風力発電は原子力を置き去りにして急速なスピードで増えています。
太陽光発電ですが、10年前にはわずか原発3基分にも満たない200数十万キロワットが世界中にあるだけでしたけれども、これが2014年度1年間だけで原発40基分、4000万キロワット増え、2015年はさらにそれを上回る勢いで増えています。2014年末の時点で原発の設備容量の半分である1億8000万キロワットとなり、2017...