「同一労働同一賃金」~日本の働き方がどう変わるのか
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
同一労働同一賃金における重要なポイント
「同一労働同一賃金」~日本の働き方がどう変わるのか
伊藤元重(東京大学名誉教授)
学習院大学国際社会科学部教授・伊藤元重氏が、安倍内閣の下で盛んに言われるようになった「同一労働同一賃金」の議論について解説する。長らく終身雇用、年功賃金方式をとってきた日本社会がなぜ今、同一労働同一賃金へシフトする動きを見せているのか? 変化している日本社会の背景から今後の賃金制度のあり方や働き方を考える。
時間:10分14秒
収録日:2016年4月20日
追加日:2016年6月16日
≪全文≫

●「同一労働同一賃金」の基本的な考え方


 安倍内閣の下で、「同一労働同一賃金」ということが盛んに言われるようになりましたし、現に内閣も「同一労働同一賃金を進めていくことに非常に積極的である」と報道されています。

 同一労働同一賃金は、これまでいろいろなところで言われてきたわけですが、なかなか微妙だろうと思います。非常に乱暴に割り切ってしまえば、同じ内容の仕事、同じ成果を出すような働き方をしているのであれば、正規社員であろうがパートであろうが、場合によっては40歳の方でも20代の若者でも、時間当たりの賃金は基本的に同じ方向にしていくべきである、というのが同一労働同一賃金の基本的な考え方です。


●旧来の賃金制度とは違う同一賃金同一労働へ収斂する難しさ


 これは、旧来の日本の賃金制度や働き方とかなり違う考え方です。日本には終身雇用、年功賃金というものが非常に浸透していますから、同じ社員の中で同じ仕事をしていても、例えば、入社3年目の社員と入社してから20年以上経っている社員とでは違いがあり、やはり長く会社に勤めてきた人たちに対してはそれなりの貢献を認めなければいけないので、同じ労働でも賃金を高くするという慣行がずっとあるのだろうと思います。ある言い方をすれば、これをいわゆる年功賃金制というかもしれません。つまり、仕事に賃金がつくのではなく、働いている人に賃金がつくという形です。さらに言えば、同じ労働をしている同じ年齢の人でも、例えば、30代の正社員と30代でパートやアルバイトが仮に同じことをやったとしても、やはりそこには賃金に差をつけるべきである、という形で今まではやってきたわけです。

 もちろん、こうした年齢、あるいは経験による賃金の違いだとか、または企業に対する責任の強さに違いがあると思います。つまり、企業に自分のフルタイムとしての身を預けている場合と、他のところの仕事をしたりいつでも出入りできるという自由度を認められながら働いているパートやアルバイトという労働とが、全く同じ賃金であるということもまた極端な話でしょう。ですから、現実の世の中の動きとして、「同一労働同一賃金を進めていく」と言われながらも、なかなかそういう形で収斂していくのは難しい方向にあるのだろうと思います。


●同一労働同一賃金によって、日本全体の働き方を変えていく


 ただ、こ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営者のセンスは担当者のスキルとは全く違う
楠木建
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(1)「生成AI」の画期性
「生成AI」実装の衝撃…人工知能の歴史と特長
渡辺宣彦
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(1)人口問題の本質
「逆・タイムマシン経営論」は本質を見抜くための方法論
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
数学と音楽の不思議な関係(2)リズムと数の不思議と変拍子
童歌「あんたがたどこさ」は何拍子?変拍子の不思議な魅力
中島さち子
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
戦国武将の経済学(3)豊臣秀吉の経済政策
豊臣秀吉の驚愕の国内貿易…莫大な財力を生んだ経済政策
小和田哲男