義肢装具士の世界と義足作り
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
障害者のスポーツへの挑戦を支える体制整備が急務!
義肢装具士の世界と義足作り(2)リハビリと支援の充実
臼井二美男(義肢装具士/切断者スポーツクラブ「スタートラインTokyo」創設者)
義足の製作で最も苦労するのは、義足と足をつなぐ連結部の調整だ。生身の足は、その特徴が千差万別だし、状態も変化する。その個性や変化を見越し、さらに知識の提供やリハビリの実施などを経て初めて、義足での歩行が可能になる。義肢製作の現場に立ち続けてきた義肢装具士・臼井二美男氏だからこそ語れる、義足歩行の難しさとは何か。(全2話中第2話)
時間:10分56秒
収録日:2016年7月19日
追加日:2016年9月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●「痩せていく足」を見越して調整する苦労


 義足づくりで一番苦労するのは、ソケットの適合技術です。いくらシリコンを履いて、間にクッションがあるといっても、大切なのはやはりソケットです。それが合っていないと、ユルユルだったりきつかったりして、本当に使いにくい。また、ある程度合っていたとしても、例えば、腓骨という骨がありますが、その腓骨と骨の先端、脛骨が当たって、痛いのです。つまり体重をかけて痛ければ、一歩も歩けません。

 そういう意味で、ソケットの適合が一番大事です。体重が残された足に最初に伝わるところですから、そこが痛いと歩けません。一人一人の足の型を石膏で取り、その型をもとに、手作業でそこに形を出しています。

 石膏はちょうど、こちらにある義足と同じです。これは左の下腿切断ですが、骨の部分が当たらないように逃がしてあります。後から、骨の先や腓骨の部分を盛ります。これをもとに形を作ります。石膏の盛り方や削り方が合っていないと、中が緩かったり、ここ(腓骨)が当たってしまったりします。そのあたりをうまく作る技術がやはり難しいのです。

 特に義足は、履き始めると足が少しずつ痩せていきます。ですから、最初に履いたときはかなり良い感触でも、2カ月後、3カ月後のことも考えて作るということをしなければ、長く履いていられません。人間の足は変化しますので、義足を履き続けていると少しずつ痩せていくのです。ですから、ソケットの中が少し痩せていくことを前提に、数カ月後ないし半年後のことを考えて作るのです。そのように、一人一人に合わせた修正の仕方、作り方が難しいのです。

 見た目でいえば、世の中に似たような足を持つ人はいます。ここにある義足の形をした足の人も確かにいます。しかし見た目は似ているけれども、中の骨の太さや、残されている骨の長さなどは皆、違います。

 それから筋肉です。触った感じですごく柔らかい人もいますし、筋肉が張っている人もいます。見た目は似ていても、触るとそれぞれ皆さん違うことが分かります。そこまで含め、個人個人に合わせたソケットの作り方は、経験や想像力が不足しているとうまくできません。そうでなければ、なかなか長く履ける義足は作れないのです。


●義足だけあっても歩けるようにはならない


 例えば、100万円の義足だとしても、付けてすぐは痛くて一歩も歩...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
中世ヨーロッパの基礎的な学問「7自由学科」の一つが音楽
樋口隆一
『源氏物語』を味わう(1)『源氏物語』を読むための基礎知識
源氏物語の基礎知識…人物関係図でみる物語の流れと読み方
林望
『ロビンソン・クルーソー』とは何か(1)読み続けられる18世紀の小説
なぜ『ロビンソン・クルーソー』は“最初の近代小説”なのか
武田将明
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷
釘貫亨

人気の講義ランキングTOP10
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(3)「吉田調書」問題と津波の予見
朝日新聞と「吉田調書問題」…所員の9割が命令違反で撤退?
門田隆将
編集部ラジオ2026(3)高市政権の行方と「明治維新」
高市政権の今後は「明治維新」の歴史から見えてくる!?
テンミニッツ・アカデミー編集部
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
こどもと学ぶ戦争と平和(4)人間はなぜ戦争をするのか
人間はなぜ戦争をするのか?2つの要因から問う平和の条件
小原雅博
高市政権の進むべき道…可能性と課題(3)外交への懸念と経済復活への提言
「強い経済」へ――実現への壁は古い日本と同調圧力!?
島田晴雄
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
インフレの行方…歴史から将来を予測する(3)戦後の日本経済と海外のインフレ率
オイルショック、バブル…過去と現在の環境の共通点は?
養田功一郎
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
プロジェクトマネジメントの基本(6)ビジネスアナリシスの仕事
スコープ・クリープはリスクが大きい…どうすればいい?
大塚有希子