●義肢作りのきっかけになった恩師との思い出
義肢装具士の臼井二美男です。鉄道弘済会義肢装具サポートセンターで、今は研究開発室長も兼任してやっています。入社して、今度で33年たちます。最近はスポーツ義足を作る専門家として、いろいろな選手の人が相談に来ます。とはいえ95パーセントは、一般の切断者の人の義足を作っています。
33年前、僕が28歳の時、それまでいろいろな仕事をしていて、今でいえばフリーターのような身分だったのですが、やはり手に職を付けようということでいろいろと探したことが、この仕事に入るきっかけです。その時に思い出したのが、小学6年生の時の担任の先生でした。
その先生はまだ大学を出たばかりで、当時23歳くらいでしょうか。赴任して僕たちのクラスの担当になった年に、悪性腫瘍になり、大腿切断ということになってしまいました。先生は学校をしばらく休んで、僕たちが卒業する頃に学校に戻られたのですが、その時に、義足を履いていると言って、重そうな足をひきずるようにしてクラスに入って来たのです。その後、「臼井君、ちょっと触ってみる?」と言って、足を少し触らせてくれたのです。その時の硬い感触のようなものを思い出しました。それが義足作りの仕事についてみようかなと思ったきっかけです。
それから、直接この職場(当時)へ見学に行きました。その時ちょうど欠員があったので、見習いから始めました。それから33年たって、今に至っています。本当に恵まれていたと思いますが、今から20年ほど前に、その先生にお会いすることができました。今は、その先生の義足を作らせてもらっています。
●最近の義足の主流は、ワンタッチ式
義足にもたくさんの種類があります。本当は義「足」ばかりではなく、義「手」もあります。要するに体の欠損した部分、切断した部分を補うものを義肢といいます。
装具は他にもいろいろとあります。手はあるけれども麻痺があるといった、いわゆる機能障害という状態のためのものもあります。形としてはあるけれども、けがや病気で機能しない、そうした場合に補助するものを装具というのです。僕が主に作っているのは、その中で義肢、つまり義手や義足です。特に、義足を中心にやらせていただいています。
繰り返しになりますが、切断を補うためのもの全般を義肢といいます。そのうち、手に付け...