日本は右傾化しているのか
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
戦後の左翼変更の克服か? 愛国主義か? 不満分子か?
日本は右傾化しているのか
岡崎久彦(外交評論家)
最近、アメリカでは日本の右傾化を扱う論文が出ているが、日本は本当に右傾化しているのだろうか。外務省時代には初代情報調査局長も務め、情報の専門家である岡崎久彦氏が、世論調査の内容や近年の日本の状況、ヨーロッパとの違いなどを挙げながら、日本の右傾化について論じる。
時間:14分23秒
収録日:2014年3月26日
追加日:2014年5月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●国際的に見れば日本は穏健


岡崎 日本の右傾化に関してですが、最近、アメリカでは、一生懸命、日本を弁護している論文が出ています。しかし、それがまた、皆変なのです。日本に長くいて、日本のことを一生懸命勉強し、日本に好意的な人による論文で、日本人のことをよく知っているため、「日本人は皆こうではない」「日本人はハト派が多い。安倍首相のような人は例外で、あれが日本人の全てと思わないでくれ」と言うのです。そして、「口では何を言っても、現に日本は70年間平和国家で、何も悪いことはしていないではないか」「日本は、本当はいい国なのだ」という論説なのです。

 これは、ここ何十年にわたり日本の歴史を知っているという経歴から言えば、そうなのですが、そういう人たちからすれば、安倍さんはやはり右翼になるのです。しかし、そういう弁護は、問題の本質を捉えていないと思います。

 私の理論では、日本は全然右傾化していません。一番分かりやすいのは、「あなたは国を守るために戦いますか」という質問をして、答えてもらうことです。これが、どういうことになるかですが、ここ最近10年ぐらい、内閣府はそういった世論調査をやっていません。

―― そうなのですか。

岡崎 やっていなくて、古い数字しかないのです。また、国際的な世論調査も、その時によって質問が変わったりしているので、なかなかそろわないのです。

 けれども、21世紀になってからの世論調査から、おおむね言えることは、「あなたは国のために戦えますか」と聞かれて、イエスと答える日本人は16パーセントほどです。それが、ここ2、3年で増えたかどうかという問題はありますが、傾向としてはそんなところです。アメリカはだいたい68パーセントで、年によって、ほとんど変わりません。中国、韓国は80パーセント前後です。

―― なるほど。

岡崎 そうすると、日本の16パーセントが、例えばここ数年間で倍増して32パーセントになったとします。これはトレンドとして見たら、100パーセント増えたということになるので、ものすごい右傾化です。けれども、国際的に見たら、まだ穏健化で、左翼ですよ。ですから、日本は右傾化などしていないということです。


●現在の日本には右翼情報も政党もない


岡崎 それよりももっと、日本が右傾化していないと僕が思うことがあります。

 私は情報...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(2)開国の是非と将軍継嗣問題
「尊王攘夷か佐幕か」…天皇絶対主義に結びつく厄介な問題
山内昌之
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
中国春秋戦国時代と始皇帝(8)合従軍と秦の激闘
合従軍、秦に迫る!…秦王・嬴政を滅ぼしかねなかった激戦の史実
鶴間和幸
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子