55年体制と2012年体制
この講義シリーズの第1話は
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
右は右でも違う! 日韓国交正常化を実現させた外相の謝罪
55年体制と2012年体制(3)戦争経験と右翼思想
ジェラルド・カーティス(政治学者/コロンビア大学名誉教授)
中曽根康弘、後藤田正晴、岸信介、そして椎名悦三郎。55年体制には多くの“右”がいた。しかしそうした人々は、“右”であると同時にリベラルでもあった。ジェラルド・カーティス氏は、そこに今の日本の潮流との決定的な違いを見出し、警鐘を鳴らす。(全3話中第3話目)
時間:7分17秒
収録日:2014年11月18日
追加日:2014年12月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●55年体制の政治家は戦争を経験していた


カーティス もう一つ、55年体制の特徴について話します。この特徴が失われてしまったのは仕方がないことですが、僕が55年体制の中で選ばれた代議士と話すのが非常に面白かった理由の一つは、多くの人たちに戦前、戦中の経験があったからです。

 ですから、1930年代の軍国主義下で、総理大臣が暗殺されたりするような時代の恐ろしさ、あるいは戦争の恐ろしさを身をもって分かっていた保守的な政治家は、“右寄り”と言っても、“右”の意味が今の“右”とは違います。中曽根康弘さんや後藤田正晴さんも皆そうです。そういう人たちは、リベラルの要素がとてもありました。

 今、若い戦後生まれの“右”と言われる人たちの方が、かえって慰安婦のことで弁明したり、南京事件の被害者は30万人ではなくて4万人だけだったかもしれないと言ったり、また、日本は悪いことをしていないとか、他の国も悪いことをしているとか言ったりしています。そうしたことは、55年体制の頃の、戦前、戦中を経験した人たちには、とうてい言えなかったことです。


●リアリスト椎名悦三郎の謝罪が日韓国交正常化を実現させた


カーティス 一つ、面白いエピソードがあります。椎名悦三郎さんですが、彼は戦前、岸信介さんと仲が良かったのです。

──商工省の先輩(岸)、後輩(椎名)ですね。

カーティス そうです。二人とも満州国に行っていました。当時、革新官僚やアメリカ・イギリスの民主主義に反対する“右”の人たちが、まず満州国を理想的な国にし、それを日本に逆輸入しようとしていました。岸さんもその一人です。戦後になり、最終的には駄目になりましたが、彼らが満州国でやろうとしていた理想を最も理解し、また最もそれを実現しようとしていたのは、韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)さんであると考えていました。ですから岸さんは、朴正煕さんを非常に高く評価し、朴さんが経済発展を重視してヘビーインダストリー(重工業)を産業の中心に据えたり、弾圧をして独裁政治を維持することを応援するのです。

 1965年の日韓国交正常化の際は、椎名さんが外務大臣でした。椎名さんはずっと岸さんの子分的存在です。そして満州国について岸さんと同じように考えており、二人とも戦前はまるで民主主義的ではない考え方を持っていました。しかし、二人とも、非常にリアリスト、現...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(8)『オデュッセイア』の世界的影響
オデュッセイアが物語のフォーマット?…アラビアンナイトから百合若物語、ひまわりまで
松村一男
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
編集部ラジオ2026(32)鎌田東二先生の法華経講義解説-1
【10min名作探訪】鎌田東二先生の『法華経』講義の核心ビジョン
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸